クローズ就労は本当にバレる?税金や年金からの発覚リスクと対策

障害のことを会社に伝えずに働く「クローズ就労」。

これは、自分のペースで働きやすく、応募できる求人の幅も広がるため、多くの方が選択肢として考える働き方のひとつです。

特に、初任給や待遇面で一般枠の方が条件が良いことがあるため、「できればクローズで働きたい」と思う方も少なくありません。

でもその一方で、「会社にバレたらどうなるんだろう?」「何がきっかけでバレてしまうのかな?」といった不安を抱えることもありますよね。

特に、年末調整や住民税、障害年金の受給など、自分では注意していても思いがけない部分から情報が伝わってしまうんじゃないかと、気が休まらないという声もよく聞かれます。

この記事では、クローズ就労をしている方や、これから検討している方に向けて、

「どこからバレる可能性があるのか」
「どうすればバレにくくなるのか」

といった疑問に丁寧にお答えしていきます。

また、オープン就労との違いや、それぞれのメリット・デメリットにも触れながら、自分にとって最適な働き方を見つけるためのヒントをお届けします。

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クローズ就労とは?オープンとの違いと注意点

クローズ就労の意味と背景

クローズ就労とは、障害があることを会社に伝えずに、一般枠の求人で働くスタイルのことです。

障害者雇用枠とは違って、特別な配慮やサポートを受けることは前提になっていません。

その代わり、応募できる企業の数が多かったり、待遇面で条件が良かったりすることもあるため、「とりあえずクローズで働いてみようかな」と考える人も多いんです。

ただし、会社側に障害のことを伝えない分、体調面や働き方を自分でしっかり管理する必要があります。

無理をしてしまっても気づいてもらえなかったり、サポートを受けられなかったりする場面も出てくるかもしれません。

また、職場の人間関係で気を使いすぎてしまい、ストレスが溜まりやすいという面もあります。

オープン就労との違いと、それぞれのメリット・デメリット

一方で、オープン就労というのは、あらかじめ自分に障害があることを会社に伝えてから働くスタイルです。

企業側もそれを理解したうえで採用してくれるので、配慮のある働き方ができることが大きなメリットですね。

体調が悪くなったときも相談しやすかったり、自分の特性に合った仕事内容を提案してもらえることもあります。

ただ、オープン就労にはデメリットもあって、求人の選択肢が少なかったり、給与水準が低めになったりする傾向があります。

また、「障害があるから」という理由で任される仕事が制限されるケースもあります。

どちらのスタイルにも一長一短があるので、自分にとって何を大事にしたいかを考えて選ぶのがポイントです。

なぜクローズを選ぶ人が多いのか?

クローズ就労を選ぶ人が多いのは、

「生活のために安定した収入がほしい」
「少しでも条件の良い職場に入りたい」
「障害があることを他人に知られたくない」

といった思いがあるからです。

特に、家族を養っていたり、子どもがいたりする方にとっては、できるだけ収入の多い選択をしたくなるのも当然のことです。

また、障害の程度が軽度で、日常生活や業務にほとんど支障がない場合、「あえて言わなくても大丈夫」と考えてクローズを選ぶこともあります。

ただ、そうした判断があとからストレスや無理につながることもあるため、「今の自分に合った働き方かどうか」を定期的に見直すことが大切です。

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クローズ就労はどこからバレる?代表的な原因とは

年末調整の「扶養控除等申告書」でバレるケース

年末調整のときに提出が求められる「扶養控除等申告書」には、「本人が障害者であるかどうか」を記載する欄があります。

ここでうっかり「障害者」のチェック欄にマークを入れてしまうと、会社側は障害者控除を適用するために詳しい情報を求めてきます。

その際、障害者手帳の写しや等級、取得日などを提出するように言われることがあるため、結果として「この人は障害があるんだな」と知られてしまう流れになるのです。

この申告書は税金の処理に関わる大事な書類なので、会社の経理部門なども慎重に確認します。

そのため、ちょっとした記載ミスでも会社に気づかれやすいという特徴があります。

もし障害のことを知られたくない場合は、この欄を空欄にしておく、または意図的に申告を避けることで回避できますが、次の項目のようにそれには別の工夫も必要になります。

障害者控除を確定申告で申請すると住民税からバレる?

年末調整で障害者控除の申告を避けた場合でも、自分で確定申告をして控除を受ける方法があります。

いわゆる「還付申告」と呼ばれる手続きです。

これを行うと、所得税が還付されるうえ、翌年度の住民税にも障害者控除の適用が反映されるので、トータルの税負担を軽くすることができます。

しかし、この方法にはひとつ注意点があります。

住民税の課税情報が会社に通知される際に、障害者控除が適用されていることが記載されるケースがあるんです。

そうなると、会社の経理担当者などが「あれ?この人、障害者控除を受けているんだ」と気づいてしまうことがあります。

特に中小企業などでは、給与計算と住民税の通知管理を同じ担当者が行っていることも多く、気づかれやすい環境にあります。

このため、クローズ就労を続けたい方にとっては、確定申告のタイミングや方法を慎重に選ぶ必要があるといえるでしょう。

障害年金・障害者手帳の所持でバレることはある?

障害年金を受給していることや、障害者手帳を持っていることは、あくまで個人のプライバシーに関わる情報です。

そのため、通常は本人が自ら会社に伝えない限り、職場に知られることはありません。

会社が勝手に調べたりすることはできないので、その点は安心していいでしょう。

ただし、例外として「傷病手当金」を申請するときがあります。

この申請書類には、障害年金を受け取っているかどうかを記入する欄があり、手続きの際には会社を経由して提出することになるんです。

このときに、障害年金の受給が判明してしまうことがあります。

また、障害者手帳をうっかり職場で落としてしまったり、書類の中から見つかってしまったりといったケースもゼロではありません。

そういった意味でも、クローズ就労を選ぶなら、日常のちょっとした行動にも気をつけることが大切です。

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クローズ就労がバレたらどうなる?解雇や不利益の可能性

障害を伝えなかったこと自体は違法ではない

障害があることを会社に伝えずに働く「クローズ就労」は、法律的には全く問題ありません。

厚生労働省の見解でも「障害の申告義務はない」とはっきり示されています。

つまり、本人が望まない限り、就職時や入社後に障害の有無を報告する必要はないんです。

ただし、会社側に隠していることで「後ろめたさ」を感じる方も少なくなく、「隠しているのってダメなのかな…」と悩む場面もあります。

でも、これはルール違反ではありませんし、自分の判断で決めていいことなんです。

だから、堂々としていていいんですよ。

仕事の支障があると問題にされることもある

ただし、実際に働くなかで障害が影響して業務に支障が出てしまった場合は、別の問題に発展することもあります。

たとえば、納期が守れなかったり、ミスが繰り返されたりして職場に迷惑がかかるケース、あるいは顧客対応で混乱を招いたりするような場面ですね。

こうした場合は、「なぜ業務がうまく進まないのか」という原因に会社が目を向けざるを得なくなります。

特に接客業など、人と直接関わる仕事の場合は、影響が大きくなりやすい傾向にあります。

もちろん、すぐに解雇ということにはなりませんが、何らかの対応が必要とされる可能性はあります。

会社が重視する「安全配慮義務」とは?

企業には「従業員の安全と健康を守る」ことが法律で義務付けられています。

これが「安全配慮義務」と呼ばれるもので、会社は社員が安心して働ける環境を整える責任があるんです。

たとえば、体調を崩している人に無理な業務を任せてしまった場合、会社側の責任が問われることもあります。

そのため、もし障害を抱えた状態で無理に働いていて、周囲や本人の安全に関わるような問題が起きた場合、会社は「知らなかった」では済まされなくなります。

その結果、やむを得ず契約終了になることもあるんですね。

つまり、クローズで働くことは自由ですが、「自分の働き方が今の仕事に合っているかどうか」を意識することがとても大事です。

無理せず、必要なサポートが受けられる環境に身を置くことも、安心して働き続けるためのポイントですよ。

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バレないためにできる工夫と正しい対処法

年末調整ではチェック欄に注意!

年末調整で提出する「扶養控除等申告書」などの書類には、「本人が障害者かどうか」を示す欄があります。

ここにうっかりチェックを入れてしまうと、会社に障害者控除を申請していることが伝わってしまい、その流れで障害の有無が明らかになることがあります。

たとえば、チェックを入れることで、会社側から障害者手帳の提示を求められたり、等級や交付日の確認をされたりする場合もあります。

そうならないためには、この欄にチェックを入れないようにすることが大切です。

特に、書類の記入を急いでいたり、他の欄とまとめて確認してしまうと見落としやすいので、提出前にしっかりと読み直すことをおすすめします。

また、年末調整の意味をよく理解しておくと、判断もしやすくなりますよ。

還付申告のタイミングで工夫する

障害者控除を受けたいけれど、会社に障害のことは知られたくない。

そんなときは、年末調整では申告をせずに、後から「還付申告(確定申告)」という方法を使って控除を申請することができます。

これを使えば、障害者控除を受けながらも、会社にはその情報が伝わらない可能性が高くなります。

ただし、この方法も注意が必要です。

確定申告の情報がそのまま住民税に反映されてしまうと、翌年の住民税の控除欄から障害者控除が適用されていることが分かり、会社が気づくこともあります。

そこでおすすめなのが、住民税をいったん納めたあとに「住民税の還付申請」をする方法です。

こうすれば、会社に通知される情報とは別に控除を受けられるので、より安全に申請ができますよ。

このように、還付申告やタイミングの工夫を上手に使うことで、クローズ就労を守りつつも税金のメリットをしっかり受け取ることが可能です。

障害年金・手帳は個人情報!むやみに伝えないでOK

障害年金を受給していたり、障害者手帳を持っていたりすることは、完全に「個人情報」です。

ですので、自分から言わない限り、会社に知られることは基本的にありません。

たとえば、保険証やマイナンバー、年末調整の書類にも、障害年金の受給状況が書かれているわけではないため、安心して大丈夫です。

ただし、会社を通して手続きをするような制度

たとえば、傷病手当金や休職手当などを申請する場合には、「障害年金を受給しているかどうか」を記載する欄が出てくることもあります。

このときは、提出のルートによっては会社に情報が伝わってしまう可能性もあるので、事前に確認しておくと安心です。

普段の業務や日常生活で、障害者手帳を見せるような場面はほとんどありません。

なので、むやみに自分から伝える必要はまったくありませんし、「知られないようにしている自分を責める必要」もありません。

自分のプライバシーを守ることは、働く上でとても大切なことですから、堂々と自分のスタイルを貫いて大丈夫ですよ。

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クローズ就労かオープン就労か迷っているなら

クローズ就労の方が求人は多いが、離職率も高め

実際の調査では、クローズ就労(一般枠)の離職率は69.2%と、かなり高い傾向にあります。

これは、障害のことを伝えずに働いているぶん、必要な配慮が受けられず、職場で無理を重ねてしまうことが多いからです。

たとえば、

  • 体調が悪くても気づいてもらえずに頑張りすぎてしまったり
  • 人間関係に過度に気を遣った結果、精神的にも体力的にも限界がきてしまう
というケースも見られます。

また、クローズ就労では「まわりと同じように振る舞わなきゃ」というプレッシャーを感じやすい傾向があります。

そのストレスが積み重なってしまうことも、離職率の高さに影響していると考えられます。

確かに、求人の数は多く、応募のハードルも低い場合が多いですが、長く働き続けるという点では難しさがあるんですね。

オープン就労は長く働きやすい環境が多い

一方、障害があることを開示した上で働くオープン就労は、職場側がその人に合った働き方を一緒に考えてくれるケースが多いため、安心して働き続けやすい傾向にあります。

たとえば、体調が悪い日には業務内容を調整してくれたり、静かな場所で仕事をできるようにしてくれるなどの配慮があることも。

そうした環境があるからこそ、離職率も29.6%と比較的低くなっています。

また、自分の状態や困りごとを正直に話せる職場環境というのは、それだけでも心の負担がぐっと軽くなります。

「誰かに理解してもらえている」という安心感が、仕事を続ける原動力になっている方も多いです。

もちろん、すべての職場がそうとは限りませんが、オープン就労には「自分らしく働き続けやすい」というメリットが確かにあるんです。

主治医や家族、支援機関と相談して決めよう

どちらの働き方にもメリットとデメリットがあるので、「どちらが正解」という答えはありません。

だからこそ、自分一人で抱え込まずに、信頼できる主治医や家族、就労支援機関のスタッフなどと話しながら、一緒に考えていくことがとても大切です。

たとえば、

  • 主治医に自分の体調やストレスの許容範囲について相談したり
  • ハローワークや障害者就業・生活支援センター(なかぽつ)で、自分に合った働き方のアドバイスを受けてみたり
ということもおすすめです。

家族と将来の働き方について話すことで、新しい気づきが得られることもあります。

ひとりで悩むと「どちらも不安…」と思いがちですが、誰かに相談することで選択の軸が見えてくることがありますよ。

まとめ:不安を減らすために「自分に合った働き方」を見つけよう

クローズもオープンも「自分を守るための選択肢」

クローズ就労もオープン就労も、それぞれが自分の心と身体を守るための大切な手段です。

どちらかが正解というわけではなく、自分の状態や働く環境、生活の優先順位によって選ぶことができます。

クローズで働くことで求人の選択肢が広がり、経済的な安定を優先できる人もいれば、オープンにすることで職場の理解と配慮を受けて安心して働けると感じる人もいます。

つまり、「自分をどう守りたいか」を軸にして考えることが大切なんです。

「働けているから大丈夫」ではなく、「この働き方が自分の体や心に負担をかけていないか」を定期的に見つめ直すことが、長く安心して働くためのポイントになりますよ。

安心して働くために、事前にできることから始めてみよう

まずは、自分の体調や症状と向き合う時間をしっかり取ってみてください。

たとえば、「朝の通勤がつらい」「長時間の集中が難しい」「音や光に敏感でストレスを感じやすい」など、日常生活で気づくことは多くあります。

そういった情報をメモしておくだけでも、どんな職場や働き方が合っているのかが見えてきます。

そのうえで、クローズで働くなら何に気をつければいいのか、オープンにするならどこまで話すかなどを考えてみましょう。

無理をしないで働ける環境を見つけるためには、自分を知ることが一番の近道です。

「いつかバレるかも」と不安を抱えながら働くよりも、「自分らしく、無理のない働き方」を選ぶことで、心も体もラクになります。

仕事を続けていくには、自分を追い込まず、心地よくいられる場所を見つけることがとても大切です。

その一歩として、今できることから始めてみてくださいね。