
「また買いに来ちゃった!」そんなふうに声をかけられたときの、じんわりと胸に広がるうれしさって、何度経験しても特別ですよね。
イベント出店って、たった一日の売上や集客ばかりが注目されがちだけど、本当の魅力は「また来たい」と思ってくれる人との出会いが積み重なっていくことだと思うんです。
一度きりの屋台ではなく、
「あの場所に行けばいつものあのお店があるという安心感」
「あのわたあめの味がまた食べられるという期待感」
そういう気持ちが少しずつ重なって、リピーターという存在が生まれてくるんですよね。
でも、「また来たい」と思ってもらうには、ただ出店回数を増やすだけでは足りなくて。
味や見た目はもちろん、お客さんとの距離感や発信の仕方にも、小さな工夫や積み重ねが必要になってきます。
この記事では、私自身が出店を続けるなかで感じた“また来てもらえる屋台”のつくり方について、実際の体験談をまじえながら丁寧にお伝えしていきます。
どこかで「リピーターって難しそう」と感じていた方にも、きっと心がふっと軽くなるようなヒントが見つかるはずです。
なぜイベント出店で“リピーター”が大事なのか
出店ビジネスは、一見すると「その日その場所で売れれば成功」と思われがちですが、実際にやってみるとわかるのは、毎回ゼロから集客することの大変さと心の消耗の大きさです。
とくにわたあめ屋さんのように、家族での副業や土日だけの小さな出店で活動している方にとっては、出店ごとに毎回「はじめまして」のお客さんと向き合うのは、想像以上にエネルギーが必要です。
そんな中で、
「前も来ました」
「また食べたくて来ました」
そう言ってもらえるリピーターの存在は、売上面の支えになるだけでなく、自分自身の気持ちを支えてくれる大きな心の栄養にもなるんですよね。
それに、リピーターがいることで、周りのお客さんからの信頼感や安心感も生まれやすくなります。
誰かが迷わず並んでくれている姿は、それだけで
「ここっておいしいのかな」
「人気なのかも」
と感じさせてくれるし、行列ができているだけで集客力は倍増します。
「また来てもらえるお店」になることは、単に人を集めるための手段ではなくて、商売として続けていくための安定した土台を育てることにもつながるんです。
一度きりの来客だけだと売上が安定しない理由
イベントごとに出店先や来場者の層が変わると、どうしても「その日しだい」の不安定さがつきまといます。
とくに天候や競合の有無に左右されやすい業態では、たまたまお客さんが集まった日はよくても、次は全然売れなかったなんてことも日常茶飯事です。
売上が毎回バラバラだと、準備や仕込みの段階でも読みづらくて、在庫を抱えてしまうこともありますし、必要以上に緊張してしまうこともありますよね。
だけど、そこで「何人かは毎回来てくれる」という安心感があるだけで、見通しがぐっと立ちやすくなるんです。
収支のバランスも調整しやすくなりますし、何より「またあの人たちに会えるかも」という楽しみがあると、出店準備のモチベーションもまったく変わってきます。
続けて出店するほど売上が伸びるのは“信頼”が積み重なるから
リピーターが生まれる背景には、「また行きたい」と思ってもらえる安心感や期待感があるんですよね。
特に親子連れが多いイベントでは、子どもたちが前に食べたわたあめを覚えていて「また食べたい」と言ってくれたり。
親御さんが「ここのなら安心して買える」と感じてくださったりすることで、自然とリピートにつながっていきます。
そしてその信頼は、一度では生まれません。
何度も顔を合わせたり、毎回丁寧な接客や安定した味を提供することで、少しずつ積み上がっていくものなんです。
そうして築かれた関係は、次のイベントでも「また来てくれた」「あのお兄さん(お姉さん)だ」と笑顔で迎えてもらえる形になっていきます。
売上が安定するという数字的なメリットだけでなく、お客さんとの信頼関係を育てていく実感は、出店者としてのやりがいや自信にもつながります。
わたあめのような“記憶に残る商品”はリピートされやすい
わたあめって、ふわっとした口どけやカラフルな見た目、そしてイベントの特別な雰囲気と相まって、子どもにとっても大人にとっても強く印象に残る商品なんです。
だからこそ「また食べたい」「今度は違う味にしてみたい」といった気持ちが生まれやすく、一度体験してもらえたお客さんが、次の機会にも足を運んでくれる確率が高くなります。
イベントの思い出に直結する商品だからこそ、そこに安心感や期待感が重なると、自然とリピーターになってもらえる可能性が広がっていくんですね。
リピーターづくりは、ただの営業戦略じゃなくて、「また会えたね」と言える関係を育てていく営みなんです。
リピーターが自然と増えた!出店者目線のリアル共通点
「また来てくれた!」そう気づいたときのうれしさって、ほんとうに特別なんですよね。
しかもそれが一度や二度じゃなく、出店を重ねるたびに増えていくと、売上以上に「やっていてよかったな」と思える瞬間が増えてきます。
でも不思議なことに、「特別なことをしたわけじゃないのに、自然とまた来てもらえるようになった」という共通点があることに気がついたんです。
ここでは、わたし自身や他の出店仲間の経験を通して、「リピーターが自然と増えた屋台」に共通していたポイントをお伝えしていきますね。
見た目の世界観が“いつも同じ”である安心感
まず印象的だったのは、「毎回変えないこと」の強さです。
目立つために毎回デザインやレイアウトを変える人もいますが、リピーターが多い屋台ほど、
「テントの色」
「看板の雰囲気」
「のぼり旗の位置」
といったところまで、ほとんど変わらないんですよね。
それって、「あ、あのお店だ」とすぐに思い出してもらえる、いわば“視覚の記憶”をちゃんと育てているということなんです。
どこか懐かしい、ほっとするような屋台の風景って、見た瞬間に信頼が湧いてくるもの。
だからこそ、派手すぎる装飾よりも「この屋台はいつもここにいる」という安心感のほうが、長く愛される理由になるのかもしれません。
思わずもう一度食べたくなる“味の再現性”
味に関しても、「おいしければOK」じゃないことを実感します。
一度気に入ったわたあめが、次に食べたときに「あれ?なんか違う…」となってしまうと、それだけで再来のチャンスを逃してしまうこともあるんです。
ザラメの種類や分量、火力の調整、風のある屋外での対応など、わたあめって意外と繊細。
でも、そこを一定の品質で再現できるようになってくると、「またあの味が食べたい」とリピートにつながりやすくなります。
わたし自身、ザラメの配合と加熱時間を記録しておくようにしてから、味にブレが減って「前よりおいしくなった」と言ってもらえることが増えたんです。
名前を覚えてくれるきっかけを“屋号以外”でも作る
そして意外と効果があるのが、「覚えやすい要素」を意識することです。
屋号をしっかり決めている人も多いですが、それがない場合でも、たとえば
「いつもピンクの帽子をかぶってる人」
「手書きのゆるキャラがいる屋台」
みたいな“印象に残るフック”があると、記憶に残りやすくなります。
お客さんは、思ったよりも小さな要素で「あのお店」と認識してくれているんですよね。
だから、無理に派手にしようとしなくても、「あなただけの雰囲気」を少しずつ育てていけば、それが自然と屋台の“顔”になっていくんです。
今日からできる!わたあめ屋のリピート集客5つの戦略
リピーターって、なにか特別な接客ができる人じゃないと増えないって思われがちなんですが、実はちょっとした工夫や仕組みの積み重ねがすごく効いてくるんです。
大げさな演出をしなくても、「あ、また来たくなるな」と感じてもらえる仕掛けは誰でもつくれます。
ここでは、わたし自身が実際に試して効果があったリピート集客の方法を、5つの視点からお伝えしますね。
どれも特別な機材や広報力がなくても始められることばかりなので、明日からでも気軽に取り入れられますよ。
① SNSで「次の出店予定」を必ず告知する
まず大切なのは、「また出店する」という情報をしっかり伝えることです。
InstagramやXなどを使って、「今週末〇〇公園で出店します」と前もって告知しておくだけで、「また行きたい」と思っていた人の足が自然と向かうようになります。
わたしも、何度か「出店情報があれば行ったのに」と言われたことがあって、そこからは必ず開催場所と日時、そしてできれば出店位置まで書くようにしています。
SNSって投稿が流れていきやすいからこそ、同じ内容でも2~3回に分けて伝えるくらいでちょうどいいんですよね。
② 子どもが覚えやすい名札・キャラ・色を決める
大人よりも子どものほうが、屋台のイメージってはっきり記憶してるんですよね。
だからこそ、名前やキャラをつくってあげるだけで「またあの人のわたあめが食べたい!」となる確率がぐんと上がります。
わたしは手書きのうさぎキャラをスティックに貼っていたんですが、子どもが「うさぎのわたあめまたある?」と声をかけてくれることがあって、びっくりしました。
小さな仕掛けでも、子どもにとっては立派なブランドになるんですね。
③ 2回目購入にゆるく背中を押す仕掛け
リピートを生み出すには、「また来たくなる理由」を自然につくってあげることがポイントです。
たとえばスタンプカードは定番ですが、「3本目でおまけ」などのささやかな特典でも充分。
うちは「また食べに来てくれたら、今度は好きな色でつくるよ」と伝えるようにしていて、これが想像以上に喜ばれるんです。
押し売りにならない“やさしい理由づけ”は、お客さんの心をふっと動かしてくれますよ。
④ お客さんの写真(許可あり)をSNSに載せる
写真を撮ってもいいか聞いてみて、OKをもらえたら「今日のお客さま」としてSNSに投稿する。
それだけで「わたしも写りたい!」とリピーターにつながったり、家族の間で拡散されて「あのときの写真の屋台だ」と覚えていてくれることがあるんです。
もちろん顔出しNGのときは後ろ姿や手元だけでもOKですし、写真があると投稿にも温かさが出て、見ている人の安心感にもつながります。
⑤ イベント主催者とつながって常連出店枠を確保する
意外と見落としがちなのが、「お客さん」だけじゃなく「主催者さん」との関係づくりです。
トラブルなくスムーズに出店してくれる人って、運営側にとっても貴重な存在なんですよね。
だからこそ、出店後に「ありがとうございました」とひと声かけたりSNSでイベントを一緒に紹介したりして、関係を築いておくと「次回もぜひお願いします」と声がかかることが増えていきます。
出店場所が固定化されれば、それだけでお客さんにとっても「見つけやすいお店」になっていくんですよ。
失敗からわかった…リピーターが増えない屋台の特徴
「ちゃんと出店してるのに、なんだかリピーターがつかないなあ」そんなふうに感じたこと、ありませんか?わたしも実際に何度もその壁にぶつかってきました。
でも、ふり返ってみるとそこにはいくつか共通する“もったいない原因”があったんです。
リピーターが増えないときって、単に商品や味に問題があるというよりも、“また行きたくなる理由が育っていない”だけのことが多いんですよね。
ここでは、過去の出店でわたし自身が失敗したこと、そして出店仲間たちから聞いた「これはやらない方がいいよ」という体験談をもとに、避けたいポイントをいくつかご紹介していきます。
心当たりがあっても落ち込む必要はありません。
小さく変えるだけで、ぐっと印象が変わることもありますからね。
忙しいとつい無愛想になってしまう
出店中って、暑さや行列の対応でいっぱいいっぱいになってしまうことがありますよね。
気づいたら無言で手を動かしてばかりで、お客さんの顔を見ずに商品だけ渡してしまっていた、なんてことも。
でも、リピーターが増えているお店をよく見ると、どんなに忙しくても「こんにちは」や「ありがとう」をきちんと伝えていて、それだけでお店全体の空気がやわらかくなっているんです。
たとえ言葉数が少なくても、目を見て笑顔で渡すだけで「また来たくなるな」という印象って残るんですよね。
疲れていても“ほんの一瞬だけでも”心を向けること、それが次の出会いを生んでくれます。
毎回メニューが違いすぎて覚えてもらえない
新しいフレーバーを出したくなる気持ち、すごくわかります。
でも毎回まったく違うメニュー構成だと、お客さんの記憶に残りづらくなってしまうんですよね。
わたしも以前、「あのとき食べた味ありますか?」と聞かれて「あれはその日だけだったんです」と答えたら、なんだか申し訳なくなったことがあります。
それ以来、定番のフレーバーを1~2種類決めて、そこに季節限定や気まぐれメニューを組み合わせるようにしました。
そうすると「前に食べたやつ、またあるかな?」と期待してくれる人が増えて、自然と再訪のきっかけにもなっていきました。
屋台の場所を毎回変えて固定客が来にくい
イベントごとに配置が変わるのは仕方ない部分もあるけれど、それでも「場所がわからなかった」と言われることは意外と多いんです。
特に大きなイベントだと、「去年はここだったけど、今年は見当たらなかった」という声があとから届くこともあります。
だからこそ、SNSで事前に出店場所を伝えるだけでなく、地図や目印を一緒に投稿するようにすると、それだけで「ちゃんと探しに行こう」と思ってもらえるんですよね。
場所を固定できなくても、“探してもらえるお店”になる工夫はできます。
続けるほど“あなたの屋台がブランドになる”という話
最初は「1日だけのイベント出店」だったはずなのに、気がつくとその屋台には名前がついて、見た目に統一感が生まれ、お客さんの記憶に残る存在になっていく。
これはわたし自身が出店を続けるなかで実感した、うれしくて不思議な変化でした。
売上や効率も大事だけれど、それ以上に
「覚えてもらえること」
「また会いたいと思ってもらえること」
そういったことが、出店を長く続けるうえで何よりの土台になるんですよね。
ここでは、“出店を続ける”ことで自然と屋台がブランドとして育っていくその過程と、気をつけておきたいポイントについてお話ししていきます。
無理に売上を追わず“安全・誠実”を積み重ねる
イベントで食べ物を扱うというのは、やっぱり責任のあることです。
火傷やアレルギー、異物混入など、もしものリスクを想定して、日頃から衛生面や安全管理に気を配っておくことはとても大切です。
そしてそれをきちんと守りながら、丁寧に接客し、片付けやゴミ処理まできれいに終える。
そうした“当たり前のこと”を誠実に積み重ねていく姿勢が、主催者さんやお客さんの信頼につながっていきます。
実際、何度も呼ばれている屋台って、売上よりも「この人たちは安心して任せられる」と思われていることのほうが多いんです。
派手さよりも誠実さ。
これはイベント出店という世界ではとても強い武器になるんですよ。
ファンがつくと「出店が楽しみ」になる
ある日、いつも来てくれる親子の方に「うちの子、ここのわたあめの人のことずっと覚えてたんです」と言われたとき、思わず胸がいっぱいになりました。
その子はイベントの日を指折り数えて待っていてくれて、開店と同時に走って来てくれたんです。
「また会いたい」と思ってもらえることって、すごく特別なことだし、それが“楽しみにされている商売”になっていく瞬間なんだと気づきました。
売るためじゃなく、会いに来てもらうための屋台。
そんなふうに感じられると、準備や片付けの大変さもふっと軽くなるんですよね。
そして何より、自分自身が「またやりたいな」と思える気持ちを持ち続けられるようになるんです。
まとめ:リピーター戦略は“商売”じゃなく“関係づくり”
リピーターって、ただの「また買ってくれるお客さん」じゃないんですよね。
一度出店しただけではわからなかったその感覚に、何度か出店を繰り返してやっと気づけました。
最初は「どうしたらもっと売れるかな」って、商品の見た目や味、価格にばかり気を取られていたけれど、気がついたら「また来てくれたこと」に心が動いていて。
あのとき笑顔で手を振ってくれた子、わたあめを両手で大事そうに持っていた親子連れ、毎回の出店が誰かの思い出になっていることを知った瞬間、わたしの中で何かが変わったんです。
たしかに売上も大事です。
でも、リピーターってその場で生まれるものじゃなくて、誠実に丁寧に関わっていった結果、いつのまにか「また来たいな」と思ってもらえる関係なんだと思うんです。
うまくいかなかった日も、反応が薄くて落ち込んだ日もあったけど、それでも「また来たよ」と声をかけてくれる人がいるだけで、屋台はただの商売じゃなくて“つながりの場所”になるんですよね。
わたあめは、ふわっとして消えてしまうけれど、その時間や笑顔はしっかり記憶に残ります。
だからこそ、目の前の人に真っ直ぐ向き合って、今日よりも“また来たくなる”明日を育てていけたら、それだけで十分に素敵な仕事だと思えるんです。
リピーターづくりは、派手じゃないけど、あたたかい関係をそっと積み重ねていくこと。
そうして育った屋台は、きっといつか、あなたにとっても「ここまでやってきてよかったな」と思える居場所になってくれるはずです。

