離乳食を始めてしばらく経ち、赤ちゃんがゴックン期からモグモグ期へと進んでいくと、「そろそろ味付けを少しずつ取り入れてもいいのかな?」と考えるママやパパも多いですよね。
その中でよく耳にするのが「出汁(だし)」の存在。
食材の味を引き立ててくれるだけでなく、栄養面でもプラスになるので、使ってみたくなる気持ちは自然なことです。
とくに、しいたけ出汁は植物性で体にやさしく、ビタミンDなどの栄養も豊富なので注目されがち。
でも一方で
「しいたけって赤ちゃんに食べさせても大丈夫?」
「出汁だけならいつからOKなの?」
といった不安を感じる方も多いと思います。
この記事では、そんな疑問に寄り添いながら、しいたけ出汁を離乳食に使い始める時期の目安や使い方、市販のだしを選ぶ際のポイントなどを、やわらかく丁寧にわかりやすく解説していきます。
初めての育児で「これでいいのかな?」と悩んでいるママやパパにとって、少しでも安心してしいたけ出汁を取り入れられるようなヒントになればうれしいです。
しいたけ出汁はいつから離乳食に使ってOK?
植物性なので離乳食初期から使用OK!
しいたけ出汁は、植物性の素材を使っただしなので、実は離乳食初期(生後5~6ヶ月ごろ)から使えるんです。
赤ちゃんはまだ味にとても敏感な時期なので、やさしい風味のしいたけ出汁はぴったり。
味覚をゆっくり育てていく大切な時期だからこそ、素材そのものの味を感じられるようなだしの使い方が理想です。
しいたけ出汁は、昆布だしや野菜だしと並んで、植物性の中でも赤ちゃんの胃腸にやさしく、安心して取り入れやすい出汁のひとつ。
とくに食欲があまりないときでも、ほんのり香るしいたけの風味が食欲をそそってくれることもありますよ。
だしを使うことで素材の甘みやうま味が引き立ち、赤ちゃんの食への興味も広がっていきます。
しいたけはビタミンDが豊富で栄養面でも◎
特に干ししいたけには、ビタミンDがたっぷり含まれています。
日光に当てて乾燥させることで、栄養価がさらにアップするのも嬉しいポイント。
ビタミンDは、カルシウムの吸収を助ける働きがあり、赤ちゃんの骨や歯の形成にとってとても大切な栄養素なんですね。
日常の食事の中で、しいたけ出汁を活用すれば、自然なかたちでビタミンDを取り入れることができます。
とくに母乳育児をしている場合、ママのビタミンDの摂取状況によっては赤ちゃんの体内ビタミンDが不足しがちになることもあるので、こういった栄養を補える出汁は頼もしい存在です。
干ししいたけの戻し汁を加熱して使おう
しいたけ出汁を使うときは、干ししいたけを数時間水に浸けて戻し、その戻し汁を活用するのが基本になります。
ただ、乾物には雑菌がついていることもあるので、必ずしっかりと火を通してから使用することが大切です。
衛生面でも安心して使えるように、一度沸騰させるとより安全ですよ。
時間があるときは、冷蔵庫で一晩じっくり戻すと、さらに濃厚でおいしい出汁が取れます。
忙しい日はぬるま湯を使って時短するのもアリです。
手作りのしいたけ出汁は、やさしい香りとコクがあり、赤ちゃんの離乳食に深みを与えてくれる存在になりますよ。
しいたけそのものはいつから?出汁との違い
しいたけは後期からが安心、理由は「食感」
しいたけ自体を離乳食で使う場合は、離乳食後期(生後9~11ヶ月ごろ)からが安心です。
というのも、しいたけは繊維質が多く、加熱しても独特のかたさが残るため、噛む力がまだ発達しきっていない赤ちゃんには少し難しい食材なんです。
特に軸の部分は固くなりやすく、細かく刻んでも口の中で残ってしまうことがあるので注意が必要です。
だからこそ、しいたけをそのままの形で食べさせるのは、ある程度歯ぐきや奥歯でモグモグできるようになってからがおすすめなんですね。
すりおろしやペーストなら中期から少量で
ただ、しいたけを細かく刻んだり、すりおろしてペースト状にすることで、離乳食中期(生後7~8ヶ月ごろ)からでも少しずつ取り入れることができます。
しいたけは水分と一緒に煮込むことで繊維がやわらかくなり、裏ごししたり、とろみをつけることで赤ちゃんも飲み込みやすくなりますよ。
とくに初めて使うときは、にんじんやかぼちゃなどの甘みのある野菜と一緒に煮ると、しいたけの風味がやわらぎ、赤ちゃんも受け入れやすくなることが多いです。
少量から始めて、徐々に量を増やしていきましょう。
きのこアレルギーに注意!初回は慎重に
しいたけを使う際に気をつけたいのが、まれに見られる「きのこアレルギー」です。
アレルギーといってもすぐに重症化するとは限りませんが、初めてのときは慎重に進めたいですよね。
まずは、しいたけ出汁やペーストをひとさじだけ口にしてみて、30分~1時間ほど赤ちゃんの様子を見守ってください。
もっと慎重にしたいときは、パッチテストのように腕の内側などに少量つけて、肌が赤くなったり発疹が出ないかを確認するのもひとつの方法です。
もし少しでも気になる症状が見られたら、すぐに食べるのをやめて、小児科で診てもらいましょう。
事前にアレルギーのある家族歴がある場合は、より注意が必要です。
安全に、そして楽しく離乳食を進めていけるように、赤ちゃんの反応を見ながら慎重にすすめていきたいですね。
市販のしいたけ出汁って使っても大丈夫?
一般の粉末だしはNG!塩分・添加物が心配
普段大人が使っている粉末だしや顆粒だしには、どうしても塩分や化学調味料が多く含まれていることがほとんどです。
私たちが毎日の料理で使う分には便利でおいしいですが、赤ちゃんの体はまだ発達段階にあるため、それらの成分が負担になってしまう可能性があります。
とくに塩分は腎臓に負担がかかりやすく、将来的な健康リスクにもつながることがあるため、できるだけ控えたいところです。
また、うま味調味料も赤ちゃんの味覚を刺激しすぎる場合があり、濃い味に慣れてしまう原因になることもあるんですね。
なので、離乳食には大人向けのだしは使わず、別の方法で風味をつけるのがおすすめです。
赤ちゃん用の無添加出汁を選ぼう
最近では「赤ちゃん向けの無添加だし」もいろいろな種類が市販されるようになってきました。
たとえば、昆布や干ししいたけ、野菜などの素材だけで作られたシンプルなだしパックや粉末タイプなどがあります。
塩分やうま味調味料が入っていないものを選べば、安心して離乳食に使うことができますし、赤ちゃんの味覚を育てるうえでもとても良い選択になりますよ。
忙しい日や、毎回出汁を手作りする時間がないときでも、こういった便利な無添加だしを使えば、手軽においしい離乳食を作ることができて、ママやパパの負担もぐっと減ります。
裏面表示で「塩分・うま味調味料なし」を確認
市販のだしを選ぶときは、パッケージの表だけで判断せず、必ず裏面の表示もじっくり確認してみてください。
- 無添加
- 塩分不使用
- 赤ちゃん向け
とくに原材料表示の欄では、
- 〇〇エキス
- アミノ酸等
- 酵母エキス
できるだけ素材が少なく、シンプルな材料でできているものを選ぶようにしてみてくださいね。
離乳食の時期はとくに「素材そのものの味」を楽しませてあげたい大切なタイミングなので、だし選びも丁寧にしてあげるといいでしょう。
しいたけ出汁の取り方と、離乳食での活用アイデア
干ししいたけ+水で簡単自家製出汁
干ししいたけを数時間水につけておくだけで、やさしい風味の出汁が完成します。
特別な道具も必要なく、誰でも手軽にできる方法なので、離乳食づくりの第一歩としてとてもおすすめです。
時間がある場合は、冷蔵庫で一晩じっくりかけて戻すと、さらにうま味や香りが引き出され、より風味豊かになります。
この戻し汁はそのままスープや煮物に活用できるだけでなく、冷凍してストックしておくこともできるので、忙しい日の時短にもつながりますよ。
干ししいたけ自体も柔らかく戻るので、刻んで他の料理に使うことも可能ですが、出汁をとったあとのしいたけは少しかために感じることもあるため、赤ちゃんに与える際は様子を見てからのほうが安心です。
初期:にんじんのおかゆ+しいたけ出汁
離乳食初期では、味付けは基本的に不要ですが、しいたけ出汁を少し加えることで、自然な甘みやうま味が引き立ち、赤ちゃんの「食べてみたい」という気持ちを育てるきっかけになります。
にんじんはやさしい甘さがあるので、すりおろしておかゆに混ぜたあと、しいたけ出汁でのばすと、やわらかくてほんのり香るやさしい一品に仕上がります。
このメニューは、まだ食べ慣れていない赤ちゃんでも比較的受け入れやすく、素材の味を自然に覚えるのにぴったりです。
冷凍ストックもできるので、多めに作っておくと便利ですよ。
中期:野菜スープや煮込みうどんに風味づけ
離乳食中期(モグモグ期)になると、食べられる食材やメニューの幅もぐんと広がってきますよね。
そんな時期には、しいたけ出汁を使った野菜スープや、やわらかく煮込んだうどんなどが大活躍します。
じゃがいもやにんじん、玉ねぎなどの野菜をやわらかく煮込み、しいたけ出汁で風味をつけることで、自然なうま味を感じられる栄養満点のスープになります。
うどんも細かくカットし、野菜と一緒に煮ると食べやすく、1品で主食と野菜を両方とれるバランスの良い食事に。
食欲がないときや、いつもとちょっと違う味を試したいときにもおすすめのメニューです。
無理に使わなくてもOK?しいたけ出汁が合わないときは…
苦手そうなら無理しない、味覚には個性がある
しいたけの風味は独特なので、赤ちゃんによってはちょっと苦手に感じてしまうこともあります。
たとえば、ひとくち食べてすぐに顔をしかめたり、スプーンを押し返したり、泣いて嫌がったりする場合もあります。
そんなときは、「せっかく作ったのに…」とガッカリする気持ちもあるかもしれませんが、無理に食べさせる必要はありません。
一度お休みして、また時期をおいてから試してみるくらいの気持ちで大丈夫です。
味の好みは本当に個人差があって、赤ちゃんの舌にも好みがあります。
成長とともに変化することもあるので、今ダメでも数ヶ月後には「パクパク食べる!」なんてこともよくありますよ。
焦らず、赤ちゃんのペースを大切にしてあげてくださいね。
昆布・野菜だしなど他の素材で十分代用可能
しいたけ出汁にこだわらなくても、赤ちゃんの離乳食に使えるだしはたくさんあります。
昆布だしはクセが少なく、ほんのり甘みも感じられるやさしい味わいで、離乳食初期から安心して使える定番です。
また、野菜を煮てできる「野菜だし」もおすすめで、
- にんじん
- 玉ねぎ
- キャベツ
だしにバリエーションがあると、毎日のごはん作りも飽きずに続けやすくなりますし、赤ちゃんの味覚を豊かに育てることにもつながります。
しいたけに限らず、いろんな素材のうま味を楽しんでみてくださいね。
まずは素材そのままで食べる習慣も大切
離乳食の初期~中期にかけては、調味料を使わずに素材そのままの味を覚えさせてあげることがとても大切な時期です。
大人の食事のように「味付けをしなきゃ」と思う必要はなく、まずは食材の本来の味を楽しむことから始めてあげましょう。
にんじんの自然な甘さや、おかゆのやさしい風味など、赤ちゃんは意外としっかり味を感じ取っています。
だしを使い始めるのは、いくつかの食材をクリアしてきてからで十分。
食べ慣れたものにちょっと風味を足すくらいの気持ちで、徐々にステップアップしていけばOKです。
味をつけすぎずに育った子は、素材の味を楽しめるようになり、将来的にもバランスのよい食事を好む傾向があるとも言われています。
まとめ|しいたけ出汁は初期からOK、でも安全第一で!
しいたけ出汁は植物性で、さらにビタミンDも豊富に含まれているため、赤ちゃんの身体にやさしく、離乳食初期から安心して使える食材のひとつです。
ビタミンDはカルシウムの吸収を助け、骨の成長や免疫の働きにも関わる大切な栄養素。
とくに母乳育児中心の赤ちゃんには、意識して取り入れていきたい栄養でもあります。
また、しいたけのうま味成分が素材の味を引き立ててくれるので、赤ちゃんの味覚を育てる上でも役立ちます。
風味豊かでありながらもやさしい味わいなので、素材そのままに近い離乳食に少しだけ変化をつけたいときにもぴったりですね。
ただし、初めてしいたけ出汁を取り入れるときには、まれにきのこ類にアレルギーを示すこともあるため注意が必要です。
赤ちゃんの体質や家族のアレルギー歴を確認したうえで、まずは少量ずつ、慎重に試してみるとよいでしょう。
初日はひとさじからスタートして、赤ちゃんの体調に変化がないかを確認してあげてくださいね。
そして、市販のだしを使うときは、必ず「赤ちゃん向け」や「無添加」と表示されたタイプを選ぶようにしましょう。
化学調味料や塩分が含まれている一般のだしは、赤ちゃんにはまだ早く、内臓に負担がかかってしまうこともあります。
最近は育児用に開発されたやさしい出汁パックや粉末タイプもたくさん出ているので、無理せず便利なものを活用するのも育児を続けるうえで大切な工夫です。
何よりも大切なのは、赤ちゃんの反応をよく観察しながら、その子のペースで少しずつ味の世界を広げていくこと。
しいたけ出汁も、赤ちゃんの「おいしいね」が増えるきっかけのひとつになると嬉しいですね。