相撲の塩まきにはどんな意味がある?塩の産地は決まっているの?

スポンサードリンク

大相撲の取組前に印象的な「塩をまく」という行為。

なんとなく当たり前に見ていたけど、この塩をまくという行為はどうして行っているのでしょうか?

相撲で塩をまくという行為には、どんな意味があるのでしょうか?

そして実は、全ての取組前に、みんながみんな塩をまいている訳じゃないっていう事実、知っていましたか?

今回はそんな「お相撲の塩まき」の疑問について、詳しく見ていきますね。

スポンサードリンク

相撲で塩をまくことにはどんな意味があるの?

日本の国技「相撲」。

最近ではおじいちゃんおばあちゃんだけでなく、若い女性や子供など、日本人みんなに人気のあるスポーツですよね。

私も小さなころ、夕方家に帰るといつもおばあちゃんが夕方の相撲中継を見ていたのを思い出します。

この相撲、なんとなく見ているだけでは、わからないことが沢山あります。

力士たちが取組の前にまく“塩”もそのひとつではないでしょうか?

相撲の取組前に塩をまく理由

古来から日本では“塩”は神聖な意味をもっています。

「けがれをはらうもの」「神聖なもの」として信仰されてきた歴史があります。

けがれた体を清めるために「海水につかる」という事がおこなわれていたから、海の水からとれる“塩”にも同じような神聖なものという意味が考えられています。

そもそも大相撲は、五穀豊穣(ごこくほうじょう)を占う「神事(しんじ)」ともつながりの深い競技です。

「清めの塩」として土俵に塩をまいて清めることで、土俵を神聖な場所にするという意味があるようです。

また、「相撲の取組でケガをしてしまわないように」と神様に祈るという意味合いもこめられているんです。

実際に取り組みでケガをしてしまうと、そのケガをした場所に塩をふりかける力士の姿も良く見かけますよね。

相撲での塩のまき方には決まりがある?

相撲のときの塩のまきかたについては、実は特に決まりはありません。

この「塩のまきかた」についてはかなりの個人差があって、それぞれの力士の個性がでる場面でもあります。

塩のまき方によっては、観客の人たちだとか審判にまいた塩かかってしまうこともあって、後から注意される力士もいるようです。笑

そしてこの塩のまき方については、相撲ファンの間では話題になる点の一つです。

この塩をまくシーンだけを集めた動画まであるほどの人気で、ネット上を騒がせることもしばしば。

元横綱の白鵬(はくほう)は、まいた塩が手の周りにきれいにまとまって写真に写るため、「ティンカーベル」と呼ばれたりしています。笑

スポンサードリンク

相撲での「塩まき」の名称って正式な呼び方とかってあるの?

相撲の取組み前の塩まきは、「塩まき」と呼ぶ人がほとんどではないでしょうか。

調べたところ、塩まきの正式な呼び方は見つかりませんでした。

確かにテレビの大相撲でも「塩まき」とか「塩をまいている」と呼んでいますよね。

なので塩まきは「塩まき」と呼んで差し支えないでしょう。

相撲独特の言い回しって?

塩まきはそのままの呼び方でよいけれど、相撲は独特の言い回しをする用語がたくさんあります。

例えば、「電車道」という言葉。

相撲なのに電車とは?とちょっと不思議な言葉ですよね。

相撲における「電車道」とは、立ち合いから一直線に土俵の外に押し出されることを意味します。

特急電車のような力士が、勢いよく相手を押し出すイメージから来ている言葉なのかもしれません。

他にも相撲用語はたくさんあるので、少しご紹介します。

相撲用語と意味①けんか四つ

けんか四つとは、得意な組み方が逆な相手との取組みのこと。
      
例えば、「右四つが得意な力士」と「左四つが得意な力士」とでの取組みは、けんか四つとなりますよ。

相撲用語と意味②相四つ

相四つとは、「けんか四つ」の反対で、得意な組み方が同じ力士同士の取組みのこと。

相撲用語と意味③あっぷ

そっぷとは、脂肪が少なく筋肉質で細身の力士のこと。

相撲用語と意味④あんこ

あんことは、太った力士のこと。

魚のアンコウが由来の言葉です。

相撲用語を知ることで、より相撲を楽しめそうですね。

相撲用語って他にもたくさんあるから、いろいろと調べてみると、もっと相撲を楽しく見ることができますよ。

スポンサードリンク

相撲での塩がもったいない!?1場所でどれくらいの量が使われているの?まさかの再利用なんて…

取組み前に力士が豪快に塩をまく姿は、とても迫力がありますよね。

見るからに大量に塩をまく力士もいれば、「あれ!?塩まいた?」と目を疑ってしまうくらいほんの少ししか塩をまかない力士もいます。

大相撲の一場所(15日間)で使われる塩の量は、約520㎏です。

単純計算すると、「一日あたり約35㎏」、「力士一人あたり約500g」の量の塩をまいていることになります。

一回に500gの塩をまくというのは驚きの量ですね!

そして一場所に520㎏もの塩が使われるとは、想像以上でした。

大相撲の本場所は1年に6回あるから、1年でなんと約3120㎏の塩がまかれていることになります。

塩まきに使われる塩って再利用しないの?

この塩まきに使われる塩だけど、実は1回限りの使い切りなのです。

つまり、再利用されることはありません。

相撲を見ていると気づくけど、土俵を呼び出しがほうきで掃いていることがありますよね。

このとき土俵にまかれた塩が、砂と一緒に掃き清められるから、そこから塩だけ取り出して再利用するのは難しいのかもしれません。

なので、塩は1回使ったらそれでおしまいになります。

ちなみに、塩が混ざった砂や土俵の土は、場所が終わるたびに壊して産業廃棄物として処分されています。

塩まきは相撲の大切な儀式の一つとはいえ、ちょっともったいないような気もしますね。

スポンサードリンク

相撲でまく塩の産地に決まりはあるの?それは意外なあの場所だった?!

では、そんな塩まきに使う「塩」には、どこか決まった産地があったりするんでしょうか?

実は地方場所や巡業で使われる塩は、その都度仕入れがちがうものらしいです。

ただ、年三回の東京場所で使う塩は、1987年から「伯方の塩」が使われています。

この伯方の塩を作っている「伯方塩業」は大相撲にとても熱心に支援していることで有名です。

塩の供給だけではなく懸賞金もたくさんだしているそうです。

大相撲でまく塩に、CMでなじみのある塩がつかわれているとは、驚きですね。

相撲でまく塩の入れ物の謎に迫る!知っておきたい形や正式名称

大相撲のときにまく塩ですが、その塩を入れておく入れ物も、実は少し特別なものを使っているんです。

その塩の入れ物、名前を「塩籠(しおかご)」といいます。

よく相撲中継の時に、水の入った桶(おけ)のわきに置かれている、四角い竹製の箱のことです。

英語の相撲用語でもそのまま、「Basket For Solt」と言われています。

まさに、塩をいれる目的のためにつくられたカゴですね!

そしてこの塩籠は、職人さんによって一つ一つ手作りされている籠なんですよ。

毎回650Kg以上の塩が用意されるけど、へたらず良く使える専用の籠です。

相撲ファンの中には、わざわざこの塩籠を職人さんから購入して、自宅で物入として使っているという方もいるようです!

相撲ファンがわざわざ使う!?「職人さんの作る塩籠」の詳細を見てみる

たしかに、それだけ丈夫な籠なら、ちょっと自宅で使ってみたくなる気持ちがわかる気がしますね。

大相撲で塩まきができるのは幕下だけって本当?その理由は?

みなさんご存知の通り、力士には階級があります。

一番上から順に

  • 幕内
  • 十両
  • 幕下
  • 三段目
  • 序二段
  • 序ノ口
となっています。

このうち塩まきができるのは、実は十両以上だけなのです。

なので、幕下以下は基本的に塩まきができません。

大相撲で幕下以下には塩まきがない理由

なぜ幕下以下は塩まきができないのかというと、十両以上の力士と待遇が違うからです。

幕下以下は「力士養成員」という身分で、十両以上は「関取」となります。

関取と力士養成員では、待遇がきっちり差別化されています。

関取と力士養成員の待遇の違いの例として、次のことが挙げられます。

  • 関取は月給制だが、力士養成員は給料がない
  • 大銀杏ではなく丁髷
  • 足袋の色が黒
  • 十両以上の力士の世話をする
  • タオルが使えない
そして、取り組みのときに塩まきができないのもその一つです。

このように徹底的に待遇の差をつけることで、幕下以下が「よし、次こそ勝って階級を上げてやる!」と負けん気を養うようにしているのです。

ただ、例外として幕下が塩まきをできる場面があります。

それは、時間調整する必要がある場合です。

場所の進みが早過ぎて時間に余裕ができたとき、幕下同士の取組みでも「塩が入る」と塩まきをすることがあります。

めったにない特例だから、見ることができたらラッキーかもしれませんね。

相撲での塩まきが大量だった歴代力士にはどんな人がいる?

土俵上で天に向かって豪快に塩をまく力士は、とても迫力がありますよね。

どのくらいの量の塩をまくかは力士によって違います。

ちなみに宇良(うら)関は、ほんのひとつまみ程度しか塩をまかないことで有名です。

反対に、大量に塩をまく力士にはどんな人がいるでしょうか。

ここでは歴代力士で大量に塩まきをした力士をご紹介します。

大量の塩まきで有名な力士①若秩父(わかちちぶ)
1954年から1968年にかけて活躍した、元関脇の力士です。

若秩父が大量に塩をまくようになったのにはきっかけがあります。

お酒を飲んでいたときに絡んできた泥酔客を振り払ったことが、暴力として報じられてしまったのです。

この出来事に怒りを感じた若秩父は、憂さ晴らしをしようと大量に塩をまき始めました。

若秩父の大量の塩まきは有名になり、「塩などは 安いもんだと 若秩父」と川柳に詠まれるほどになりました。

大量の塩まきで有名な力士②水戸泉(みといずみ)

「ソルトシェーカー」というニックネームが付くほど、一度に多くの塩をまいた水戸泉。

1回に600gの塩をまいていたそうです!

500mlのペットボトル1本以上の塩をまくって驚きですよね。

水戸泉が大量に塩をまくようになったきっかけは、付き人からの一言でした。

「勝ち星に恵まれないときは、せめて塩だけでも景気よくまいたらどうですか?」

これ以降、豪快に塩をまくようになったのです。

大量の塩まきで有名な力士③北桜(きたざくら)
北桜は、前述した水戸泉の「ソルトシェーカー」の後継者です。

北桜と水戸泉が対戦したとき、大量に塩をまく水戸泉に対して、自分も負けじと豪快に塩をまいたことがきっかけで、それから多くの塩をまくようになりました。

水戸泉が引退するときには、「ソルトシェーカー」の後継者として指名し、美しい塩のまき方を伝授されたそうです。

大量の塩まきで有名な力士④照強(てるつよし)
照強は元幕内の力士です。

力士としては小柄な体格の照強は、体の大きな対戦相手に怖気つかないように、大量の塩をまいて気合を入れていました。

2024年3月場所で引退しています。

力士が大量に塩をまくのには、きっかけや理由があったのですね。

これからもたくさん塩をまく力士が現れるのか、楽しみです!

相撲での塩まきにはどんな意味がある?のまとめ

「相撲での塩まき」にまつわるいろんな疑問について見てきました。

なにげなく見ていた大相撲の塩まきだけど、意味を知ると「なるほど!」と納得しながら中継を見ることができますよね。

取り組みの後に、口の中に塩を含んだりする力士をみて「?」となっていましたが、ケガをしないようにとの意味もあると聞くと、謎が解けました!

これからは、是非そんな塩まきのシーンにも注目して、大相撲を楽しんでくださいね。