赤ちゃんが産まれてから、ママが最初にぶつかる大きな壁のひとつが「授乳」と「げっぷ」。
数時間おきにお腹を空かせて泣く赤ちゃんに応えて、昼夜問わず授乳する生活は、想像以上に体力も気力も削られていきますよね。
ましてや、それが双子だったとしたら、どうやってこの小さな命ふたつに向き合えばいいのか、途方に暮れてしまうのも無理はありません。
私も初めて双子を授かったとき、嬉しさと同時に不安でいっぱいでした。
とくに授乳のとき、どちらかが泣くともう片方も泣いて、まるで泣き声がハーモニーのように響いて…。
同時に泣き、同時に求められるなかで、自分は二人分のママになれるんだろうかって、何度も心が折れそうになりました。
けれど、そんな毎日の中で少しずつわかってきたことがあります。
すぐに完璧を目指さなくてもいいんだということ、まずは「ふたりとも生きて今日を終えられたらそれでいい」と思っていいということ。
この記事では、そんな私自身の試行錯誤をもとに、双子の授乳やげっぷに関する具体的な工夫や乗り越え方をお伝えします。
専門家の推奨方法や安全に配慮した姿勢などにも触れながら、これから双子育児に挑むあなたの助けになれたら嬉しいです。
双子の授乳でまずつまずく「げっぷ問題」
授乳って、赤ちゃんのお世話の中でもかなり神経を使うものですよね。
特に新生児期の授乳は数時間おき。
寝不足と疲れの中で、ようやく飲ませ終わったと思ったら、次に待っているのが「げっぷをさせる」という大仕事です。
でも、ここでまたハードルがあるんです。
そう、「双子」だということ。
授乳だけでも大変なのに、飲んだあとのげっぷも一人ずつ丁寧にしてあげないと、吐き戻しや不快感につながってしまう…。
そのたびに、私は「あと1本、手が欲しい」って本気で願っていました。
げっぷはなぜ必要?安全面から見た重要性
赤ちゃんが母乳やミルクを飲むとき、実は一緒に空気もたくさん飲み込んでいます。
この空気が胃の中にたまったままだと、胃の内容物を押し上げてしまい、吐き戻しにつながることがあります。
それが喉につまりそうになったり、気管に入りそうになったりすると考えるだけでヒヤッとしますよね。
だからこそ、げっぷは単なる習慣ではなく、赤ちゃんの健康と安全を守るための大切なケアなんです。
日本小児科学会や助産師さんたちの指導でも、「授乳後のげっぷ」は非常に重要だとされています。
特に新生児期は胃の入り口の筋肉が未発達なので、しっかりと空気を出してあげることが、授乳トラブルの予防になります。
双子を同時にげっぷさせるのは非現実的?
結論から言えば、双子を同時にげっぷさせるのは現実的ではありません。
私も何度かチャレンジしましたが、両肩に乗せて同時に背中をトントン…なんて、手も体も追いつきませんでした。
赤ちゃんの体が不安定なうちは、無理に同時にしようとせず、「一人ずつ、順番に」で大丈夫なんです。
それでも、どちらかを待たせることに罪悪感を抱くママは多いと思います。
私もそうでした。
もう片方が泣き出すと、どうしても「ごめんね」と思ってしまって、焦ってしまう。
でも、「安全第一で、ひとりずつ」の方が、結果的にふたりとも安心できるんです。
待たせている赤ちゃんへの配慮と姿勢の工夫
さて、問題は「げっぷをさせている間、もうひとりをどうしておくか」ですよね。
ここでのポイントは、頭の位置を高くして寝かせることです。
空気が胃の奥に溜まりにくくなるだけでなく、万が一吐き戻してしまっても、気道を塞ぐリスクを軽減できます。
私は、小さく巻いたバスタオルや授乳クッションを使って、赤ちゃんの背中から肩にかけて少し角度をつけて寝かせていました。
大人の目線から見ればほんの少しの傾斜でも、赤ちゃんにとっては大きな違いになります。
また、背中に触れながら「あとちょっと待っててね」と声をかけるだけでも、赤ちゃんはちゃんと聞いているかのように落ち着いてくれることがありました。
言葉が通じないからこそ、声のトーンや触れる手の温もりって大事なんですよね。
げっぷのさせ方は赤ちゃんによって違う
意外と見落とされがちなのが、赤ちゃんごとにげっぷの出やすい姿勢が違うということ。
私の長女は肩に担ぐようにしてトントンするとすぐ出ましたが、次女と三女は腕の中で前かがみになるように支えるとスッと出ました。
どの赤ちゃんも「マイルール」があるようで、それを探る過程が最初の一週間。
焦らずに、「この子はこういうタイプなんだ」と観察してみてください。
育児書には載っていない、自分だけの答えが見つかるかもしれません。
ママの心をラクにする「完璧じゃなくていい」の視点
げっぷが出ないとき、吐き戻したとき、泣かせてしまったとき。
そんな場面に直面すると、ママは「自分のせいかも」と責めてしまいがちです。
でも、何よりも大切なのは「自分もまだ学び途中なんだ」と思えること。
授乳やげっぷは回数を重ねるごとに、赤ちゃんとママの“息”が合ってくるんです。
私は三女のころには、赤ちゃんの表情や小さな体の動きだけで「そろそろげっぷ出そうだな」とわかるようになっていました。
それも、長女のときに失敗したからこそ身についた感覚です。
必要以上に頑張らなくていいし、他のママと比べなくていい。
双子育児はたしかに大変だけど、それ以上に喜びもたくさん詰まっています。
「今日もふたりとも無事に飲んでくれた」それだけで、十分すぎるほど偉いんです。
げっぷのことで悩んでいるママへ、少しでも気持ちが軽くなるように、そして安心して一歩前に進めるように、私の体験がそっと背中を押せたら嬉しいです。
双子を同時授乳したい!その方法と工夫
「お腹すいたー!」と大きな声で泣く赤ちゃん。
その声がふたつ重なったとき、何よりも先にママの心がパニックになりますよね。
どっちを先に抱こう、どっちを先に飲ませよう、もうひとりを待たせたら泣き止まないかも。
そんな焦りと罪悪感で、授乳の時間がプレッシャーに感じてしまうこともあると思います。
けれど、大丈夫。
双子ママたちの多くが「同時授乳」に挑戦して、少しずつ自分のペースを見つけています。
すべてを完璧にこなす必要はありません。
でも「楽になる方法」「安全な姿勢」「便利なグッズ」があるなら、それを遠慮なく取り入れて、あなたが笑顔でいられる時間を増やしていきましょう。
母乳で同時授乳するときの基本は“フットボール抱き”
私が初めて「タンデム授乳」という言葉を聞いたとき、「そんなことできるの?」と半信半疑でした。
でも、実際に試してみると、ちゃんと両方の赤ちゃんに母乳をあげられる方法があるんです。
それが「フットボール抱き」と呼ばれる方法。
授乳クッションをママの体に巻きつけるように置き、その上に赤ちゃんを左右に分けて寝かせます。
まるで両脇を小さな命で抱えているような感覚で、はじめはちょっと緊張するかもしれません。
でも、この体勢は赤ちゃんの首がまだすわっていない時期でも安定しやすく、乳首をくわえさせたあと、手を添えるだけで済むためママの体への負担も少なめです。
特に夜間の授乳では、毎回交互に抱っこしていたら腕も腰も限界が来てしまうので、フットボール抱きのようなスタイルは本当に助けになりました。
首がすわってきたら姿勢のバリエーションが広がる
最初は授乳クッションに頼っていた私ですが、赤ちゃんの首がすわってくると授乳のスタイルに選択肢が増えてきます。
寝転がっているママの横にそれぞれの赤ちゃんを添い寝させる形での授乳。
あるいは、ひざの上に一人ずつ交互に乗せながら授乳するスタイル。
いずれも、赤ちゃんの成長やママの体調に合わせて調整することができます。
大切なのは、「この姿勢じゃないとダメ」と思い込まず、赤ちゃんとママの両方にとって心地よい方法を見つけることです。
私は「こうやるのが正解」という型にしばられて苦しくなったことがあるので、それ以降は「今日はこの体勢が楽だな」と柔軟に対応するようになりました。
ミルク育児にはバウンサーやクッションの工夫を
ミルクで育てているママの場合、双子に同時にミルクをあげるにはちょっとした工夫が必要になります。
というのも、まだ自分で哺乳瓶を支えられない赤ちゃんふたりを同時に抱っこして飲ませるのは、現実的にかなり大変なんですよね。
そこで頼りになるのが「バウンサー」です。
赤ちゃんを少し起き上がらせた姿勢で安定させてくれるこのアイテムは、吐き戻しのリスクも減らしながら、両手を使ってふたりに同時にミルクをあげられるという大きなメリットがあります。
私もバウンサー2台を並べて、一緒に飲ませるスタイルにしていました。
最初は泣いたり動いたりして不安定だったのですが、何度か繰り返すうちに赤ちゃんたちもこのスタイルに慣れていき、お互いのペースをつかんでくれました。
もしバウンサーが苦手な場合は、布団やクッションで角度をつける工夫も可能です。
ただし、どの姿勢でも共通する大事なポイントは「頭を少し高くしてあげること」。
これだけは忘れずに意識してあげてくださいね。
混合育児は臨機応変に。 道具と気持ちの両方が大事
母乳とミルクの混合で育てているママも多いと思います。
私もそのひとりでした。
そんなときは「今日は母乳がよく出てるからこっち」「あっちの子は眠そうだからミルクにしよう」と、毎回柔軟に決めていました。
育児は計画通りにいかないものだと割り切ったほうが、かえってうまくいくこともあります。
片方の赤ちゃんをスリングや抱っこ紐で支えながら母乳を飲ませて、もう片方はバウンサーでミルクという組み合わせもよくやっていました。
手は2本しかないけれど、工夫次第で「同時に満たす」ことはちゃんとできるんです。
大切なのは「ママが無理をしないこと」
どんなに上手に同時授乳できるようになっても、体力と気力が限界に近づいていたら、それはきっと持続しません。
だからこそ、「今日は無理だな」と思ったら、無理に同時授乳をしなくてもいいんです。
少しずつずらして飲ませる、パパがいるときは協力してもらう、ミルクのタイミングを工夫してみる。
そんな日もあっていいし、むしろその柔軟さこそが、双子育児を続けていくためのカギになると思っています。
授乳って、ただお腹を満たすだけじゃなく、赤ちゃんとの心のつながりを深めるとても大切な時間。
そして、ふたりいっぺんに泣かれて焦った夜も、ぎゅっと抱きしめながらミルクを飲む姿にほっとした朝も、全部いつかは思い出になります。
双子育児に正解はありません。
「その日そのときの、あなたなりのやり方」で十分なんです。
まとめ
双子の授乳とげっぷは、ママにとってまさに体力と神経を使う一大イベントです。
どちらかを泣かせてしまうたびに「申し訳ない」と感じたり、うまくげっぷが出ないと「私のやり方が悪いのかも」と悩んでしまったり。
そんな風に自分を責めてしまう気持ち、私にもよくわかります。
でも本当は、毎日ふたりを抱えて必死にやりくりしているあなたこそ、誰よりもすごいんです。
完璧じゃなくても、理想通りじゃなくても、「今日を乗り越えた」それだけで十分なんです。
授乳の姿勢や便利グッズ、そして安全に配慮したげっぷの方法は、あくまで“手段”です。
大切なのは、それらを活かしながら、あなた自身が無理をせずに育児と向き合えること。
そして、赤ちゃんの笑顔やぬくもりに少しでも「しあわせ」を感じられることです。
双子育児はたしかに大変だけれど、そのぶん愛しさも何倍にもなるから不思議です。
どうかひとりで抱え込まず、ときには誰かの手を借りて、自分にもやさしくしてあげてくださいね。
ママもまた、赤ちゃんたちと一緒に育っていく存在なのですから。