
家族や大切な人を亡くすという経験は、それだけで心がぐしゃぐしゃになるほどつらくて、日常の感覚がどこかへ吹き飛んでしまうものです。
そんな中でも現実は待ってくれず、職場への連絡や手続き、さらにはお金のことまで考えなければならない現実が押し寄せてきます。
なかでも
「忌引き休暇ってお給料が出るの?」
「有給じゃないなら、休んだら損するのかな…」
といったお金に関する疑問や不安は、心が弱っているときほど余計に重く感じるのではないでしょうか。
じつは忌引き休暇というのは、法律で一律に定められているものではなく、あくまで会社の就業規則によって内容が違う「特別休暇」として扱われています。
だからこそ、会社によっては有給扱いだったり、逆に欠勤扱いでお給料が引かれてしまうこともあるのが現実です。
知らずに損をしてしまったり、あとから「そんなはずじゃなかったのに…」と後悔する前に、今からでも知っておけることはたくさんあります。
このページでは、忌引き休暇と給料の関係について、制度の背景や実際の対処法をふまえて、少しずつ丁寧に解説していきますね。
心の準備が整っていなくても、読むだけでも安心につながるはずです。
忌引き休暇は有給?無給?実は法律では決まっていません
忌引き休暇は法律で義務付けられているものではない
「忌引き休暇」と聞くと、多くの方が「国が決めた当然の権利」と思いがちかもしれません。
でも、実はこの休暇、労働基準法などの法律には明確な定義がありません。
つまり、忌引き休暇は法律上“義務として会社が設けなければならない”ものではないのです。
この事実を知ったとき、私はなんとも言えない気持ちになりました。
悲しみの中にある人を支えるために、国全体で制度として守られていると思っていたからこそ、「そんな大事なことも自己責任なの…?」と正直ショックでした。
けれど、そうであるからこそ、会社が自主的に就業規則の中で「特別休暇」として定めてくれている場合が多くあります。
逆に言えば、その内容や扱いは会社によって本当にまちまちなんです。
「特別休暇」としての忌引き休暇:会社ごとのルールに従うしかない現実
忌引き休暇は、「法律ではなく会社のルールで決まっている休暇」。
これが一番大事なポイントです。
ある会社では、配偶者の死去に5日、親や子の場合に3日、祖父母や兄弟姉妹には1日というように、細かく休暇日数が定められていることもあります。
そしてその日数についても
- 有給扱い
- 無給(欠勤扱い)
- 特別休暇として別枠支給
しかも、その違いは就業形態によっても出てきます。
正社員には有給で付与されるのに、同じ会社で働くパートタイマーやアルバイト、派遣社員には無給であることもあります。
「同じ悲しみなのに、なんでこんなにも待遇に差が出るのか」。
そう疑問に思うのは当然だと思います。
でも現時点では、会社の裁量に任されているのが現実です。
実際にお給料が支払われるかどうかは「就業規則」がすべて
じゃあ自分の会社ではどうなの?と思ったときに、確認すべきはひとつ。
「就業規則」です。
でも「そんなの読んだことないし、どこにあるのかわからない」という方も多いかもしれませんね。
実は私も昔はそうでした。
けれど、「いざ」というときに備える意味でも、忌引きや慶弔に関するページだけでも一度目を通しておくことを本当におすすめします。
社内イントラや人事の掲示板にPDFでアップされていることも多いですし、「忌引き」「特別休暇」でページ内検索をかけると該当箇所が見つかることもあります。
どうしても見つからない場合は、人事や労務担当に聞いてもまったく恥ずかしいことではありません。
むしろ「知っておきたい」という気持ちは、とても大切な働く人の権利意識です。
「慶弔金」や「弔慰休暇」の支給がある会社も
会社によっては、忌引き休暇とは別に「慶弔見舞金」や「弔慰金」が支給される制度を設けているところもあります。
これはあくまで会社の福利厚生の一環で、金額も条件も企業によって異なりますが、「無給でも弔慰金が出るから助かった」という声も聞きます。
こうした制度の存在を知らないまま諦めてしまうのは、本当にもったいない。
悲しみの中でも、生活を守るために受け取れる支援はきちんと受け取ってほしいと思います。
確認するだけでも損はありません。
有給を使うべき?「自分で選べる」のが落とし穴になることも
一部の会社では「忌引き休暇は用意していないけれど、有給休暇で休んでください」と言われるケースもあります。
確かに休みが取れるだけでもありがたいと感じることもあるのですが、ここで注意したいのが「忌引き」と「有給」は本来の目的が違うということです。
有給はあくまで「労働者が自由に取得できる休暇」であり、忌引きのように特別な事情がある休暇とは性質が異なります。
本来なら、有給を使わなくても会社が休暇を与えることで、労働者が安心してお別れに向き合える環境を整えることが理想的なのです。
とはいえ、現実的には「有給で処理していいよ」と言ってもらえることが、会社側の最大限の配慮という場合もあります。
状況に応じて、自分がどうしたいか、今後どんな働き方を望むのかも含めて判断していけるといいですね。
忌引きの日数はいつからいつまで?葬儀の後ではだめなの?
忌引き休暇の「起算日」は会社によって異なる
忌引き休暇って、そもそも「何日休めるの?」という疑問に加えて、「その日数はいつからカウントされるの?」という点でも混乱しがちです。
実はこの「起算日」
つまり1日目とされる日も、会社ごとの就業規則で違いがあります。
多くの場合、「亡くなった日」または「翌日」が起算日とされています。
たとえば、祖母が火曜日に亡くなったとしたら、火曜日から3日間なのか、水曜日から3日間なのかで、実際に取得できる日が変わってしまうんです。
「そんな細かいこと…」と思うかもしれませんが、現場の感覚としてはとても大事です。
私もかつて、喪主を務めたときに、通夜や葬儀の準備だけでバタバタし、気づいたら「え、もう忌引き終わり?」という状態に。
感情も体力も追いついていないのに、「あとは有給を使って」と言われた瞬間、なんとも言えない虚しさが押し寄せました。
ですから、
- 起算日はいつか
- どこまでが忌引き期間に含まれるのか
土日や祝日、休業日が含まれるとどうなる?
もうひとつ、よくあるのが「忌引き期間中に土日や祝日が含まれていたら、それも日数にカウントされるの?」という疑問です。
これも実は会社によって対応が分かれます。
ある会社では「暦日でカウントする」つまり、土日祝日を含めての日数で忌引き期間を数えるところもあれば、「勤務日ベースでカウントする」
つまり、実際に出勤するはずだった日だけで数えるところもあります。
この違いによって、休める日数の実感が大きく変わりますし、体力や心の回復にも大きく影響します。
たとえば、配偶者が亡くなり5日の忌引きが与えられていても、土日をまたいでしまったら、実質平日に出勤しなければならないのは2日だけ…なんてこともあるのです。
「平等に悲しめないなんておかしい」と思う方もいるかもしれません。
でも、それが“制度の限界”なのだとしたら、私たちができることは、その制度の中で少しでも納得できる形を選ぶことではないでしょうか。
葬儀の後に忌引きを取りたい…それって可能なの?
ここで多くの人が悩むのが、「忌引きって、葬儀が終わったあとに取りたいときはどうすればいいの?」ということ。
たとえば、葬儀は週末に済ませたけれど、気持ちも体も疲れ切っていて、月曜だけでも休みたい…。
そんなとき、忌引きとして休めるのか?という問題です。
これについても正直なところ、「会社の就業規則による」としか言えません。
多くの企業では「忌引き=葬儀に参列するための休暇」と解釈されているため、葬儀が終わった後の休みは「有給」「欠勤」など、別の形で処理されることが多いです。
ただし、事情を伝えることで配慮してくれる職場ももちろんあります。
私は以前、葬儀が終わった翌日に気力が尽きてしまい、出勤するのが怖くなったことがありました。
上司に素直にその気持ちを話したら、「今日も忌引きとして扱っていいよ」と言ってくださり、心がほっとしました。
会社って人の集まりなんだな、と思った瞬間でした。
だからこそ、「葬儀が終わった後でも必要な休みはある」と感じたときには、遠慮せずに相談してみてください。
制度の枠を超えて、思いやりで動いてくれる人もきっといます。
忌引き休暇を取ることになった!覚えておきたい忌引きマナーとは
悲しみの中でも「最初の一報」は電話で伝える
誰かを失ったときって、言葉にならないくらい心が揺れますよね。
そんな中で、「仕事のことを伝えなきゃ」と思うだけで、胸がぎゅっと苦しくなる。
でも、忌引き休暇を取るときは、まず第一に会社へ連絡をする必要があります。
できれば電話で、直属の上司へ状況を伝えるのが基本です。
メールやLINEだけで済ませたくなる気持ちもよくわかります。
けれど、文章にまとめる前に、声で伝えるというひと手間があることで、相手も状況を正確に理解しやすくなります。
伝えるべき内容は、
「どなたが亡くなられたのか」
「通夜や葬儀の予定日程」
「どのくらいの期間、仕事を休む必要があるか」
など。
うまく言葉にできなくても大丈夫です。
私も祖母が他界したとき、泣きながら上司に電話をかけました。
「言いにくいよね。
でも話してくれてありがとう」と言ってもらえて、心が少し軽くなったのを今でも覚えています。
そのあとで、改めてLINEやメールで情報を整理して伝えればOK。
上司やチームにも共有しやすくなりますし、自分のためにも記録が残るという意味で安心感があります。
引き継ぎの連絡は、感謝の気持ちを込めて
忌引き休暇中、自分の業務を誰かにお願いする場合は、あらかじめ引き継ぎの連絡をしておくのが理想です。
「こんなときにまで仕事の心配?」と思うかもしれませんが、だからこそ、事前に少しでも周りに配慮しておくと、自分が安心してお休みに入れます。
もし余裕があるなら、メールで簡単なメモや「これだけお願いします」というリストを残しておくと、受け取る側も動きやすいです。
私の経験では、最低限の
「〇日まで休みます」
「〇〇の対応をお願いします」
だけでも十分に伝わりますし、みんな優しく受け入れてくれました。
大切なのは完璧を目指すことではなく、「ありがとう」の気持ちを忘れないこと。
たとえうまく言えなくても、その気持ちはちゃんと伝わります。
復帰後の「ひと言」と「お礼」が今後の関係をあたためてくれる
忌引きから復帰したとき、出社してすぐに何を言えばいいのか…迷いますよね。
周りもどう声をかけていいかわからない。
だからこそ、自分から小さくても「ありがとうございました」と伝えるだけで、職場の空気がふっとやわらかくなるんです。
わざわざ丁寧に挨拶文を考える必要はありません。
「先日はお休みをいただき、ありがとうございました。
ご迷惑をおかけしました」と、一言でもいい。
口にするのは少し照れくさいかもしれませんが、その一言が、あなたを心配していた周囲への安心にもつながります。
余裕があれば、ちょっとしたお菓子などを用意して「お気持ち程度ですが」と添えるのも、古くからの日本のマナーとして定着しています。
もちろん必須ではありませんが、感謝をかたちに表すことで、自分自身の区切りにもなるんですよね。
私自身、復帰後にお礼の言葉を伝えたとき、同僚が「気にしないでね。
何かあったらいつでも言って」と言ってくれて、その言葉に思わず涙が出そうになったのを今でも覚えています。
パートやアルバイトで忌引きを取得したら給料はどうなる?
パート・アルバイトの「忌引き事情」は会社によってバラバラ
正社員として働く人とは違って、パートやアルバイトの立場で「忌引き休暇」を取るとなると、不安に感じる方も多いと思います。
「そもそも制度そのものがあるの?」
「お給料はどうなるの?」
と、疑問や不安が押し寄せてくるのは自然なこと。
結論から言うと、これもまた会社によって対応が本当に異なります。
中には、パートやアルバイトにも正社員と同じように有給の忌引き休暇を認めている、理解ある会社も存在します。
ですが一方で、制度自体が設けられていない、もしくは制度はあっても適用対象にパートやアルバイトが含まれていないというケースも珍しくありません。
悲しいけれど、
「正社員は有給で忌引きOK」
「パートさんは欠勤扱いで無給」
という現実は、まだまだ多くの職場に存在しています。
私の知り合いでも週5で長年働いてきたパートさんが、親族の不幸で3日休んだら、その分のお給料がまるまる引かれてしまったという話がありました。
「ずっと真面目に働いてきたのに…」と悔しそうに話す姿が、今でも忘れられません。
就業規則と雇用契約書を見直してみよう
では、自分の職場ではどうなのか? それを確かめるためには、まずは「就業規則」や「雇用契約書」に目を通すことが大切です。
「そんなのもらったけど、どこにあるかわからない…」という方もいるかもしれません。
でも、今ここで一度探してみるだけでも、もしものときに気持ちがずいぶんと変わってきます。
もし就業規則に「特別休暇」「慶弔休暇」といった文言があり、そこにパート・アルバイトも対象として含まれていれば、制度として申請できる可能性があります。
一方で、「正社員に限る」などの記載があれば、残念ながら対象外の可能性も。
また、職場によっては、制度はなくても「個別対応」で柔軟に忌引き休暇を認めてくれるところもあります。
「無理だろう」と決めつけずに、一度上司や人事に相談してみることをおすすめします。
伝え方に迷ったときは、「もしもの場合、パートにも忌引き制度はあるのでしょうか」といったやわらかい聞き方が安心です。
相手にプレッシャーをかけず、でも自分の権利はきちんと確認する。
それが未来の自分を守る第一歩です。
有給休暇を使えるかも確認しておこう
もし会社に忌引き制度がなくても、別の選択肢として「年次有給休暇を使う」という方法があります。
パートやアルバイトでも、雇用条件を満たしていれば有給休暇は法律で認められているものです。
厚生労働省によれば、週3日以上働いている方など、一定の条件を満たせば半年勤務後に有給が付与される仕組みになっています。
とはいえ、有給の残日数や取得ルールは職場によって様々なので、こちらも事前に確認しておくと安心です。
「忌引きという形ではないけれど、有給でカバーできたから助かった」という声も多く聞きます。
逆に、制度を知らなかったことで休みを諦めたという声も少なくありません。
ほんの少しの情報が、心の余裕を生んでくれるんです。
“休む勇気”を持つことが、あなたの優しさになる
「自分が休んだら迷惑をかけるかも…」と考えて、忌引きすら遠慮してしまう方もいます。
でもね、大切な人とのお別れは、人生で数えるほどしかない特別な時間なんです。
たとえ制度がなくても、悲しみに向き合うための時間は、あなたにとって絶対に必要なもの。
私は、家族の葬儀を終えたあと、気丈に振る舞って仕事に出た知人が、職場で涙をこらえながら仕事をしていた姿を思い出します。
彼女が「もう少し、自分に優しくしてあげればよかった」と言ったとき、聞いていた私の方が泣きそうになってしまいました。
だからこそ、たとえ無給でも、たとえ制度がなかったとしても、「ちゃんと悲しむ時間を取る」ことに、どうか罪悪感を持たないでほしい。
休むことは、あなたの大切な人への愛情であり、あなた自身へのやさしさなんだから。
派遣で忌引きを取得したら給料はどうなる?
派遣社員の忌引きは、派遣元と派遣先の“あいだ”で揺れやすい
派遣という働き方は、柔軟さやスキルの活かしやすさがある一方で、こうした「万が一のとき」に扱いがとても不安定になりがちです。
特に忌引き休暇のような制度に関しては、「派遣先では温かく対応されたけど、結局は派遣元の就業規則が優先されて無給になった」という声もよく耳にします。
なぜそんなことになるのかというと、派遣社員は“派遣先で働いていても、雇用契約の相手は派遣元”だからです。
つまり、忌引き休暇が有給か無給か、そもそも取れるのかどうかは、派遣元の会社が定めたルールに左右されるのです。
とはいえ、実際に日々顔を合わせているのは派遣先の上司や同僚。
だからこそ、「派遣先は理解を示してくれているのに、派遣元は規則どおりで冷たく感じた」と複雑な気持ちになる方も少なくありません。
同じ職場なのに…派遣と正社員でここまで違う現実
「派遣も同じチームで働いているのに、正社員の人には社内で訃報メールがまわって、慶弔金まで支給されたのに、私は誰にも知られず、欠勤扱いで給料もゼロでした」――こんな声、見かけたことはありませんか?
これは決して大げさな話ではなく、多くの派遣社員の方が直面している現実です。
たとえ業務内容が同じでも、雇用形態が違うことで、受けられる制度や支援には大きな差が生まれるのが今の社会の仕組み。
もちろん、派遣元によっては
「派遣社員にも正社員と同等の忌引き制度を設けています」
「慶弔見舞金を支給しています」
という会社もあります。
でも、それは“あたりまえ”ではないというところが、なんとも歯がゆいんですよね。
だからこそ、いざという時に泣き寝入りしないためにも、自分の派遣元の就業規則を一度確認しておくことがとても大切です。
まずは「派遣元」に連絡を。派遣先とのやり取りにも配慮を
忌引き休暇を取ることになったら、最初に連絡すべきなのは“派遣元”です。
ここを忘れて派遣先にだけ連絡してしまうと、あとからトラブルになったり、制度の適用が受けられなくなったりする可能性もあるので注意が必要です。
具体的には、派遣元の担当者に電話で、「身内に不幸があり、〇日から〇日までお休みをいただきたい」と伝えるところから始めましょう。
加えて、派遣先の上司にも別途連絡をしておくと、信頼関係が崩れずに済みます。
このとき、派遣元に対しては、
「忌引き休暇は制度として使えるかどうか」
「有給扱いになるかどうか」
もあわせて聞いておくとスムーズです。
聞きづらいと感じる方も多いと思います。
でも、あなたが自分の生活や心を守るために確認するのは、決して図々しいことではありません。
むしろ、あなただけの権利です。
“派遣社員だから仕方ない”で終わらせないでほしい
どこかで「派遣だからしかたない」「私が我慢すればいい」と思っていませんか?
でも、私は声を大にして言いたいです。
悲しいときにきちんと休むことは、誰にとっても当然の権利であって、雇用形態で差をつけていいことじゃない。
確かに、制度として整っていない会社が多いのが現実かもしれません。
でも、あなたが「聞いてみる」「確認してみる」その一歩が、自分を守る大きな力になると信じています。
そして、「忌引き休暇なんて使えない」と諦めかけている人にとっても、こうして情報を知っておくことで、いざというときに心の余裕が生まれるはずです。
私たちができることは、完璧な制度に頼ることではなく、知識を持って、少しでも安心して過ごせるようにすること。
その積み重ねが、きっと誰かの救いになるはずだから。
会社にとって忌引き休暇がある意味って何なの?
「悲しみを支える制度」がある会社は、やっぱり信頼される
忌引き休暇って、どちらかというと“働く人のための制度”というイメージが強いですよね。
だけど実は、会社側にとってもこの制度を設けることにはしっかりとした「意味」があるんです。
身近な人を失うという出来事は、誰にとっても深い悲しみを伴うもの。
そんなときに、「きちんとお別れの時間を取ってきてください」と休暇を認めてくれる会社があったら、どう感じるでしょうか?
私はきっと、「ここで働けてよかった」「この会社は人として向き合ってくれている」と感じると思います。
そうした“信頼”は、働く人の心にじんわりと根を張り、結果として仕事への意欲や会社への忠誠心にもつながっていくんですよね。
逆に、「忌引き?それ有給で申請してね」と事務的に言われると、どんなに普段の待遇が良くても、心のどこかに小さな不信感が芽生えてしまうもの。
制度って、“何を与えるか”だけじゃなく、“どう向き合うか”がとても大切なんです。
福利厚生の一環としての「特別休暇」
忌引き休暇は、多くの企業にとって「福利厚生」のひとつとして設けられています。
法的な義務ではないからこそ、その会社の“人への姿勢”があらわれる部分でもあります。
たとえば、
「配偶者が亡くなったら5日」
「親の場合は3日」
「祖父母の場合は1日」
と、関係性に応じて日数が決められているところも多く、さらにその間は有給扱いとする企業も増えています。
これは、働く人への敬意や配慮の現れであり、「社員の私生活や感情にも目を向けていますよ」というメッセージでもあります。
目先の利益より、長期的に人を大切にする姿勢こそ、今の時代に求められている企業の在り方なのかもしれません。
私も過去に、何気なく社内掲示板で「慶弔休暇」の案内を見たとき、「あ、ちゃんと人を見てくれる会社なんだな」と安心したことがありました。
そういう小さな気づきが、働くモチベーションにつながることって、ありますよね。
“遠慮しないで休んでいい”と言える制度の価値
世の中には、忙しさや職場の空気に押されて、「本当は葬儀に行きたいけど言い出せない…」と我慢してしまう人もいます。
そんなとき、「忌引き休暇」が制度としてきちんと整っていれば、少なくとも“休んでいい理由”が明確になります。
制度があることで、働く人は「遠慮しなくていい」「ちゃんと認められているんだ」と感じることができます。
そしてその安心感は、仕事に戻ってきたときのパフォーマンスにも影響してくるものです。
会社にとっては、ただ「数日間休ませる」以上の意味がある。
心のケアや信頼の維持、そしてその人の働く力を取り戻すための時間を“制度という形で支える”こと。
それが、忌引き休暇の持つ本当の価値なのだと思います。
忌引き休暇と給料にまつわる不安は「知ること」でやわらぐ
大切な人を亡くしたとき、心の中にはぽっかりと大きな穴が空きます。
そんな中で、仕事のこと、会社への連絡、そして「給料が出るのかどうか」といった現実的な不安まで抱えなければならないなんて、本当にしんどいことだと思います。
でも、そんなときにこそ「知っているかどうか」が、自分自身の支えになることがあります。
忌引き休暇は、法律で定められているものではなく、会社が独自に設けている特別休暇です。
そのため、有給か無給か、どのくらいの日数が取れるのかは会社によって大きく異なります。
正社員・パート・派遣など、雇用形態によっても扱いが変わることがあるため、「自分はどうなるんだろう?」と感じたときには、就業規則や雇用契約書を確認してみることがとても大切です。
そして、いざというときには、まず派遣元や会社に電話で連絡をし、状況を丁寧に伝えましょう。
うまく言えなくても、あなたの言葉の奥にある気持ちは必ず伝わります。
復帰後には感謝の気持ちをそっと添えることで、職場との関係もきっと温かくつながり直せるはずです。
大切なのは、悲しみを抱えた自分に優しくしてあげること。
そして、事前にできる備えを少しでも進めておくこと。
それだけで、もしものときにあなたが「ちゃんと向き合える自分」でいられるようになります。
忌引きと給料のことは、誰もが避けて通れない現実です。
だからこそ、不安をやわらげる“知識”と“心の準備”を、今のうちに整えておきませんか?
