あなたは「お月見」と聞いて、何を想像しますか?
「満月」
「おだんご」
「すすき」
と、いろいろあると思いますが、「うさぎ」を想像する人はたくさんいるんじゃないでしょうか。
日本では
「お月見=うさぎ」
というイメージが定番です。
いや、もはや「うさぎ=お月見」ぐらいの勢いかもしれません!笑
でも、なぜそのようなイメージがあるのかというと、お月様の模様が「餅つきをしているうさぎ」に見えるからです。
これは絵本でも出てくるでしょうし、幼稚園などの制作物でも扱ったりすると思います。
日本では小さな子どものうちから、このイメージを持って育ちます。
そして、少し大きくなると
「実はうさぎがお餅つきをしているように見えるのは、月のクレーターの模様なんだよ」
と学校で習います。
この事実を知ったとき、私は大人になったような気になったことを覚えています。
そこで今回は、そんな「月とうさぎのこと」について、詳しく見てきたいと思います!
月でウサギが餅つきをするのはなぜ?月の模様がそう見えるからって本当?
夜空を見上げると、月はいつも同じ模様を私たちに見せてくれています。
「ということは、月は自転してないのかな?」
と思いますが、月は自転しています。
(多分学校で習ったのでしょうが、お恥ずかしながらきれいさっぱり忘れていました。)
月の自転の周期は、地球の自転の周期と全く同じ約27日です。
なので、月は常に同じ面を地球に向けたまま回り続けることができるのです。
月が地球に同じ面を向けたままぐるりと一周回って元に戻ると、自分自身も一回自転していますよね。
地球と同じ周期だなんて、ほんとに不思議ですよね。
「月うさぎ伝説」って?
日本に伝わる「月うさぎ伝説」って知ってますか?
この「月うさぎ伝説」には諸説有りますが、インドの神話が元になっているものです。
あるところに、キツネ・サル・ウサギの仲良しの3匹がいました。
3匹はいつも
- なぜ自分たちは動物の姿をしているのか
- なぜ人間の姿ではないのか
やがて彼らは
- 動物の姿になっているのは、前世で悪事をしたからに違いない
- それならば、人間の役に立つことをしよう
この話を聞いた“帝釈天(たいしゃくてん)”という神様は、良い行いをさせてあげようと老人の姿になって3匹の前にあらわれました。
帝釈天の思いを知らない3匹は、目の前にあらわれた疲れた老人から
「お腹が空いて動けない」
と聞き、
「今こそ人間の役に立てる!」
と、それぞれが食べ物を探すことに決めました。
キツネは魚を、サルは木の実や果物を持ってきました。
しかし、ウサギは何も持ってくることができませんでした。
一生懸命探しても何も見つけることができなかったのです。
そこで、ウサギは
「もう一度探してくるから、火を起こして待っていて」
と伝えてまた出かけていきました。
しかし、またしても収穫はゼロ。
そんなウサギを見て、キツネとサルは非難します。
二人からの言葉に耐えきれず、ウサギは
「私には何も探せません。私を食べてください」
と火の中に飛び込んで死んでしまいました。
それを見てびっくりした帝釈天は、3匹の優しさを理解した上で、ウサギを死なせてしまったことを可愛そうに思い、月の中にウサギの姿を永遠に残すことにしたそうです。
うさぎがお餅をつく姿に例えられるのはなぜ
では、なぜ「うさぎがお餅をついている」というように例えられるようになったのでしょう。
これは、中国では古くから
「うさぎは杵を持って不老不死の薬を作っている」
とされていたことによります。
後述しますが、中国ではうさぎは餅つきではなく
「薬草を作っている姿」
に例えられています。
これが日本に伝わるときに、お餅に変化したと言われています。
お月見とうさぎは日本だけ?海外ではどうなの?
では海外では、どのように見えるのかをまとめてご紹介します。
- 中国
ヒキガエル(ガマガエル)・大きなカニ・桂(カツラ)の木・薬草を付いているうさぎ - 韓国
餅つきをしているうさぎ - インド
ワニ・うさぎ - アメリカ
トカゲ・ワニ・横を向いている女性 - 東ヨーロッパ
横を向いている女性・髪の毛の長い女性 - ヨーロッパ
大きなはさみのカニ - カナダ
バケツを運ぶ少女 - 北欧
横向きに腰掛けて本を読むおばあさん - インドネシア
編み物をしている女性 - ベトナム
木の下で休む男性 - モンゴル
犬 - 中東、アラビア
ライオンが吠えているところ・ライオンのしっぽ - 中南米
ロバ
日本と近い中国や韓国では同じようにうさぎに見えるようです。
うさぎ以外では
「カニ」
「横を向いている女性」
などが多いようですね。
地域によって、月にまつわる神話が存在しており、それによってどのように表現されるのかが違うようです。
同じ国の中でも、民族によって見解が違うところもあります。
ロバや犬など、生活に深く関わりのある動物に例えられている国もあります。
今はクレーターの模様だとわかっていますが、昔の人たちはそのようなことはわかっていませんでしたもんね。
「たくさんの人が、今と同じ月を見上げて話をしていたのかなぁ?」
と思うと、とてもロマンチックですよね。
お月見といえばうさぎなのはなぜ?のまとめ
お月見といえばうさぎなのはなぜなのか?ということについて見てきました。
最後にポイントをおさらいしておきますね。
- 日本では月のクレーターの模様が“お餅つきをしているうさぎ”に見えるので、お月見とうさぎは関連づけられているイメージがあります。
- 月は自転をしていますが、地球と同じ周期(約27日)なので、常に同じ面を向けて地球を回っています。そのため、いつでもお月様の模様は同じに見えます。
- インドの神話である「月うさぎ伝説」や中国で「うさぎは杵で不老不死の薬草を作っている」という話が日本へ伝わり変化して、「月でうさぎがお餅つきをしている」と例えられるようになったようです。
- 日本に近い地域(中国、韓国など)は同じようにうさぎに見えます。
- 他の地域では「大きなはさみのカニ」「横を向いている女性」「カエル」「ライオン」「ロバ」「犬」など様々なものに表現されています。
- その地域に伝わる神話や生活に深い関わりのある物事から、イメージされたものに例えられているようです。
満月の夜は、昔の人のことや宇宙に思いを巡らせながらゆっくりとお月見をしてみても良いかもしれませんね。
お酒を飲みながら静かに過ごすお月見も、なかなか良いものですよ。