お宮参りでもらう御札(おふだ)は、赤ちゃんの健やかな成長を願って授与される大切なお守りのようなものです。
でも、「この御札って、いつまで家に置いておけばいいの?」「返すタイミングを逃したらどうなるの?」と疑問に思う方も多いのではないでしょうか。
基本的には、御札は授与されてから1年を目安に神社へ返納するのが一般的とされています。
1年が経つことで神様のご加護に一区切りをつけ、改めて感謝の気持ちを伝えるという意味があるんですね。
ただし、仕事や育児で忙しかったり、授与された神社が遠方にあったりして、すぐに返しに行けないこともあると思います。
そんな場合でも心配はいりません。
御札は感謝の気持ちを込めて丁寧に扱えば、自宅での処分や郵送といった方法でも失礼にはなりません。
大切なのは「神様への感謝の心」を忘れずに行動することです。
この記事では、お宮参りの御札をいつ返すべきかという基本から
「神社に行けないときの対処法」
「自宅での正しい処分方法」
「郵送のマナー」
まで、実際の疑問に寄り添いながらわかりやすく解説していきます。
お宮参りでもらう御札ってなに?
お宮参りで御札をもらう理由とは
お宮参りでは、赤ちゃんが無事に生まれてきてくれたことを神様にご報告し、これからの健やかな成長を見守っていただけるようにお祈りします。
この大切な節目の行事では、多くの神社で赤ちゃんの名前が入った御札を授けていただけます。
その御札には「この子が健やかに成長しますように」という願いと、神様のご加護が込められているんですね。
名前が入っているからこそ、まさにその赤ちゃん一人ひとりのための特別な御札と言えるでしょう。
御札はただの紙ではなく、神様の力が宿っているとされており、神様とつながる大切なお守りのような存在です。
だからこそ、家庭でも神棚に丁寧に飾ったり、高くて清潔な場所に置いて大切に扱われます。
日常生活の中でも、ふと目に入るたびに「元気に育ってね」と願う気持ちを思い出させてくれる、そんな役割もあるんですよ。
飾る場所や飾り方の基本マナー
御札は神棚におまつりするのが基本とされています。
神棚があるご家庭では、毎日手を合わせやすい場所に置いて、神様に日々の感謝やお願いごとを伝えることができますよね。
神棚がない場合でも大丈夫です。
清潔な場所であれば、家具の上や棚の上など、目線より高く、手が届きにくい静かなスペースに置くのがよいとされています。
向きにも意味があって、南向きや東向きが特に縁起が良いとされているんです。
これは太陽の光が差し込む方向で、明るく清らかな気が流れやすいからとも言われています。
また、できれば壁に立てかけるように設置して、周囲にごちゃごちゃと物を置かないようにするのもポイントです。
お花や水を添えて祀る家庭もありますが、そこまでする必要はなくても、神様に対して敬意をもって丁寧に扱う気持ちがなにより大切です。
毎日でなくても、ふとした時に「今日もありがとう」と手を合わせてみたり、お子さんの成長を見守ってもらっている気持ちで接すると、より御札が身近な存在になりますよ。
御札はいつ返すのが正解?
1年を目安に返納するのが一般的
お宮参りの御札は、基本的に授かった日から1年を目安に返納するのがよいとされています。
これは、神道における「常に新しく、清らかなものがよい」という考え方に基づいたもので、1年以上同じ御札を飾り続けると、神様の力が薄れてしまうとも言われているからなんですね。
御札をいただいた時点からの1年間は、赤ちゃんが無事に成長するようにと願いを込めて飾り、大切に過ごす時間でもあります。
そしてその役目が一区切りついたら、神様に「ありがとうございました」と感謝の気持ちを伝えてお返しするという流れになります。
また、年末年始や特別な節目のタイミングに合わせて返納するという方も増えています。
特に年始の初詣や、家族が集まりやすい時期は、返納の機会としてもぴったりです。
季節やタイミングをきっちりと合わせなくても、気持ちを大事にすれば、返納の時期にはそれほど神経質になる必要はありません。
七五三や節目で返す人もいる
「返納のタイミングを逃してしまった…」と気にしている方も安心してください。
1年という目安はあくまで一般的なものであって、絶対に守らなければならないルールではありません。
例えば、七五三など子どもの成長を祝う節目の行事にあわせて返納するご家庭も多く見られます。
お子さんの成長を感じるタイミングで「ここまで無事に育ちました」と御礼の気持ちを込めて返納するのも、とても自然で気持ちのこもったやり方です。
また、タイミングを逃してしまった場合でも、無理に焦って返そうとするのではなく、「今がその時」と思えたタイミングで返納してみてください。
神様はその思いにきっと応えてくださいますよ。
返し忘れていても問題なし!
もし数年経ってしまっていたとしても、返納してはいけないという決まりはありません。
むしろ、「今からでもきちんと返したい」と思ったその気持ちが何より大切なんです。
どこに返す?返納場所の選び方
基本は授与された神社へ返す
お宮参りの御札は、なるべく授与された神社へ返すのがいちばん丁寧とされています。
なぜなら、その神社の神様とご縁ができたという意味があるからなんですね。
お宮参りは赤ちゃんにとって最初の神社参拝であり、神様とのつながりを持つ大事な行事。
いただいた御札をその神社へお返しすることで、ご加護への感謝の気持ちをより深く伝えることができるのです。
多くの神社では、境内の一角に古いお守りや御札を納める専用の返納場所が設けられています。
「古札納所(ふるふだのうしょ)」といった表示がある場合が多く、他にも「お焚き上げ所」などと書かれていることもあります。
そこにそっと御札を納め、お賽銭を入れてお礼の気持ちを込めて手を合わせるとよいでしょう。
返納に行くタイミングが初詣や何かの節目と重なれば、そのついでに持って行くのもおすすめです。
神社によっては、混雑を避けるために返納用の特設ボックスを設けていることもあるので、気になる方は事前に問い合わせてみてくださいね。
遠方の場合は近くの神社でもOK
お宮参りを実家の近くの神社で行った場合など、後から遠方に引っ越してしまって、「あの神社まで返しに行くのはちょっと大変…」というケースもありますよね。
そういった場合は、現在住んでいる地域の近くの神社に返納しても大丈夫です。
神様同士の間で「別の神社に返したからといって失礼になる」というようなことはありません。
むしろ、「今の生活の拠点で、感謝の気持ちを込めてきちんと返す」という姿勢が大切だとされています。
お守りや御札の返納は、気持ちがこもっていれば場所にこだわりすぎなくても大丈夫なんですね。
また、近くの神社でも、古い御札を快く受け取ってくれるところがほとんどです。
ただ、念のため「他の神社の御札でも返納できますか?」と確認してみると安心ですよ。
お寺に返すのはNGなので注意
注意したいのが、御札は神社のものなので、お寺には返さないようにしましょう。
神社とお寺では、それぞれ信仰している対象が異なります。
神社は神道に基づいて神様をお祀りしているのに対して、お寺は仏教の教えに従って仏様をお祀りしています。
ですので、神社で授与された御札をお寺に返納してしまうのは、信仰の違いを無視した行為になってしまうことがあるんですね。
また、お寺側でも神社の御札は引き取っていないことがほとんどなので、持って行っても返納できない可能性があります。
逆に、お寺でいただいたお札を神社に持っていくのも同様に避けた方がよいでしょう。
それぞれのお札は、その場所でのお焚き上げや供養が適切に行われるようになっているので、必ず授与された場所か、それに準ずる施設へ返納するようにしてくださいね。
もしどうしてもその神社に行けない場合には、前もって電話やメールで問い合わせて、郵送での返納が可能か確認すると安心です。
信仰の形式を大切にしながら、気持ちよく御札をお返しするよう心がけてみてください。
返納のマナーと手順を知ろう
神社での返納のやり方と注意点
神社の返納所に御札を納めたら、「これで終わり」と思いがちですが、実はそれだけではなく、きちんと神様に感謝の気持ちを伝えることがとても大切なんです。
御札は、赤ちゃんが無事に育ちますようにという思いを込めて神様から授かった特別なものですから、それを返納するときも「ありがとうございました」と丁寧にお礼を伝えるのがマナーなんですね。
お参りのときは、二礼二拍手一礼の基本的な作法でお参りしてみてください。
最初に深く2回お辞儀をして、2回手を打ちます。
手を打つときには、「これまで守っていただきありがとうございました」という気持ちを込めて、手を合わせて静かに祈ります。
そして最後にもう一度深くお辞儀をして終えると、心がすっと落ち着くのを感じられるかもしれません。
お礼の気持ちは賽銭で伝える
御札をいただいたときにお納めした初穂料と同じように、返納するときにも感謝の気持ちを込めて賽銭を入れるとよいでしょう。
金額に特別な決まりはありませんが、500円~1,000円くらいがひとつの目安とされています。
賽銭は「これまで見守ってくれてありがとう」の気持ちを表す手段のひとつです。
硬貨ではなくお札でももちろんかまいません。
重要なのは金額よりも、神様への感謝の気持ちがこもっているかどうかなんですね。
たとえ少額でも、気持ちを込めて賽銭箱に納め、丁寧にお参りしてから神社を後にすると、清々しい気持ちになれますよ。
年始のどんど焼きでの返納もおすすめ
年始に行われる「どんど焼き」は、御札を返すタイミングとしてとてもおすすめの行事です。
どんど焼きは、正月飾りや古いお守り、御札などを神社で一斉にお焚き上げする伝統行事で、地域によっては「左義長(さぎちょう)」や「おんべ焼き」とも呼ばれています。
このどんど焼きは、ただ物を燃やす行事ではなく、「炎を通して神様に感謝を伝える儀式」ともされていて、お守りや御札を丁寧に天に返すという意味があります。
そのため、お正月の初詣とあわせて持参すれば、自然な形で返納できるのでとても便利なんですね。
神社によっては、事前にどんど焼きの日程や受付時間が決まっていたり、持ち込みできるものの制限があったりすることもあります。
御札の種類や大きさによっては対象外となるケースもあるので、前もって神社に確認しておくと安心です。
また、どんど焼きではお焚き上げと一緒に、甘酒のふるまいや無病息災を祈る行事も行われることがあり、地域とのつながりを感じられるあたたかな時間になります。
家族そろって参加することで、お子さんにとっても神様や伝統行事への関心を育むきっかけになるかもしれませんよ。
自宅で処分する方法は?
必要なものと手順をわかりやすく解説
どうしても神社に行く時間が取れない場合や、赤ちゃんのお世話で外出が難しい時期には、自宅で御札を処分する方法もあります。
この方法でも、正しい手順と感謝の気持ちを大切にすれば、神様に失礼になることはありません。
用意するものは「半紙」と「粗塩」の2つです。
どちらも特別なものでなくてかまいません。
書道で使う白い半紙は100円ショップで手に入りますし、塩もできれば粗塩を選んでください。
これは精製された塩よりも、自然のままの粗塩の方が「清める力がある」と言われているからです。
半紙と塩で清めてから処分しよう
処分の手順はとてもシンプルですが、ひとつひとつの動作に心を込めることが大切です。
まず、床の上に清潔な半紙を広げます。
御札をその半紙の中央に丁寧に置いてください。
そして、粗塩を左・右・左の順番で3回、少しずつ御札の上にふりかけます。
この塩をふる動作は、御札を清め、神様に「ありがとうございました」と伝える大切な儀式でもあるんです。
塩をふり終えたら、半紙で御札を包み込みます。
折りたたむ方向に決まりはありませんが、丁寧に包むことを意識してください。
そのあとは、自治体のルールに従って可燃ごみとして処分します。
このときも「今まで守ってくれてありがとうございました」と、心の中で手を合わせてから処分すると、より丁寧な気持ちを伝えることができます。
郵送で返すときの注意点
神社に事前確認は必須
「どうしてもあの神社に返したい…」という強い思いがある方も多いですよね。
特にお宮参りで祈願していただいた神社には、きちんと感謝の気持ちを伝えて返納したいという方もいるはずです。
そんなときには、神社に直接出向くのが難しい場合でも、郵送という選択肢があります。
ただし、いきなり御札を神社に送ってしまうのはマナー違反になる可能性があるので注意が必要です。
まずはその神社が郵送による返納を受け付けているかどうか、事前に電話やメールで必ず確認しましょう。
神社によっては郵送を一切受け付けていないところもありますし、受け付けている場合でも送り方や注意点などが決まっていることがあります。
また、問い合わせの際には、御札の種類(お宮参りの御札であること)や授与された時期、送り先の詳細などを丁寧に伝えると、よりスムーズに対応してもらえますよ。
お炊き上げ料や手紙も忘れずに
郵送で御札を返納する場合、ただ封筒に入れて送るだけではなく、いくつかの準備が必要です。
まず、お炊き上げ料(おたきあげりょう)と呼ばれる謝礼金を同封するのが一般的なマナーとされています。
このお炊き上げ料は、神社により金額の目安が決まっていることもありますが、一般的には1,000円前後が多いようです。
お炊き上げ料と一緒に、手紙を添えることも忘れないようにしましょう。
手紙には、御札のおかげで母子ともに無事に過ごすことができたこと、住まいが遠方であるため直接伺うことが難しいこと。
そしてお焚き上げをお願いしたいという旨を丁寧に書き添えると、神社側も気持ちよく対応してくれます。
こうした一手間が、郵送での返納であっても神様への敬意と感謝をきちんと表すことにつながるので、ぜひ心を込めて準備してみてくださいね。
現金書留や定額小為替で送ろう
お炊き上げ料は、必ず現金書留や定額小為替で送るようにしましょう。
これは、安全に確実に金銭を届けるための方法であり、多くの神社でもこの形式での送金をお願いしています。
現金書留は郵便局の窓口で手続きでき、封筒に入れる金額に応じて補償額も設定されるので安心です。
一方で定額小為替は、郵便局で購入して同封することで、現金をそのまま送ることなく気持ちを届けることができます。
注意してほしいのは、普通郵便で現金を送るのは法律上も禁止されており、郵送中に紛失したり、神社側が受け取れなかったりする恐れがあるということです。
神社の受付側にも迷惑がかかってしまうので、マナーとしてもトラブル防止のためにも、必ず安全な送金方法を選ぶようにしましょうね。
まとめ:感謝の気持ちを大切に、無理なく丁寧に御札を返そう
お宮参りの御札は、赤ちゃんの無事な誕生とこれからの健やかな成長を願って授けられた、とても意味のあるものです。
だからこそ、いつ返せばいいのか、どんな方法で返すのが正しいのか、迷ってしまう方も多いのではないでしょうか。
基本的には、授与から1年を目安に返納するのが一般的とされており、これは神様のご加護への感謝と、新たなご縁を結ぶための節目ともいえます。
ただし、仕事や子育てで忙しい毎日を過ごしている中で、うっかり返納を忘れてしまったり、遠方で行けなかったりするのは決してめずらしいことではありません。
そんなときは無理をせず、自宅で丁寧に処分する方法や、郵送で返納する手段もあるので安心してくださいね。
また、地域の神社に相談したり、年始の「どんど焼き」に持参するなど、ライフスタイルに合った方法での返納が可能です。
いずれの場合でも、最も大切なのは「守ってくれてありがとう」という素直な気持ちを込めて行動することです。
お焚き上げ料を添えたり、手紙に感謝の言葉を綴ったりと、小さな心遣いを添えることで、より丁寧な返納になります。
形式にとらわれすぎず、自分にとって無理のない方法で感謝の気持ちを表すことが、神様への誠実なご挨拶につながります。
この記事を参考に、ご家庭に合った返納の仕方を選び、すっきりとした気持ちで新たな1年を迎えてみてくださいね。
お宮参りの御札は、赤ちゃんの健やかな成長を祈っていただく大切なもの。
基本的には1年を目安に神社へ返納するのが良いとされていますが、返すタイミングを多少過ぎてしまっても問題はありません。
忙しい日々の中でも、「今まで守ってくださってありがとう」という感謝の気持ちを込めて、無理のない方法で対応することが大切です。
神社への直接返納だけでなく、近くの神社への持参、どんど焼き、自宅での処分、郵送など、家庭の事情に合わせた方法を選ぶことができます。
どの方法でも大切なのは、形式よりも心。
丁寧に清めたり、お礼の手紙を添えたりと、気持ちを込めて行動することが神様への何よりのごあいさつになります。
この記事を参考にしながら、自分に合った返納方法を見つけて、気持ちよく新しい一年を迎えてくださいね。